拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 ヴンッ――。

 かすかな駆動音に王宮前広場が固唾を飲む。
 だが水を凍らせるとなると、さすがに時間がかかるのだ。そこで晶化術による結晶の生成と反転晶術の説明を行う。民衆は晶化術を医療のひとつぐらいに思っていて、魔法だと言われてもピンとこないらしい。
 ゆっくり説明される機械の仕組み。しかしエドゥアルドはモゾモゾし始める。

「お父さま、まだ?」
「おやエディ、待てないのは小さな子のすることじゃなかったかい」

 そんな会話があってやっと機械が止められた。水の器が取り出されると――。

「凍ってる!」
「夏なのに、水が凍ったぞ」

 技師が器から氷の塊を取り出してドンと平桶に乗せると人々から拍手がおこった。

「フェリスベルト殿下、どうぞさわられてみてください」
「うん。リュティ、エディもおいで」

 進み出る王弟一家が、順に氷へ手をふれる。しっかり硬く凍っていた。
 実験結果に満足げなフェリスベルト、冷たさに笑ってしまうリュティシア、そして「ふわぁっ」と叫んで目をパチクリするエドゥアルドも満点の反応だ。観衆から笑いがもれた。

「さあ、この氷にさわりたい者はただで体験できるぞ! 順番に列へ並んだ、並んだ――!」

 そんな誘い文句により広場に列ができる。
 だが人々が進むうちに、氷の二ヶ所だけがさわられまくり、溶けだしてしまった。それはどうやらリュティシアとエドゥアルドの触れたあたり。二人の人気っぷりに、企画した技師も晶術師もあっけにとられた。

「――うちの子と婚約者はたいしたものだな」

 人気最下位のフェリスベルトは妬くでもなく大真面目に感心し、得意満面。皆が「勝手にしてくれ」と思うぐらいには仲の良い王弟一家だった。

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