拳にモノを言わせますけどよろしくて?

17 事件の鍵は結晶院に

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 兄王の執務室へ呼び出されたフェリスベルトは、そこに揃った宮廷監察局トップの面々に不穏なものを感じた。かすかな笑みを取りつくろい、尋ねる。

「陛下、今日の議題はいったい……?」
「モンサント侯爵家の馬車についてだ」

 王の声音は厳めしい。
 これはアデリアの事故に関する調査結果を受けての会議だ。だが、一貴族の枠を超えた事件に発展すると思い、弟のフェリスベルトにも関わらせることにしたのだ。
 合図された監察局の男が口を切る。

「――壊れた車軸から、〈腐〉の結晶の痕跡が確認されました」
「なんだって」

 フェリスベルトの目が見開かれる。
 では、事故は人為的なものだったのか。しかも使われたのは結晶、そして反転晶術。

「燭台の件と同じ手口だと?」
「そうなるな」

 王は難しい顔だった。
 ならば二つの事件は同じ誰かの犯行だという推論が成り立つ。もちろん偶然、あるいは模倣犯という可能性を捨ててはいけないが。

 燭台落下事件において、被害を受けそうになったのは王太子パルミロと妻フロリアーナ。しかし居合わせたガルディア王女リュティシアの機転により助かっている。
 ただし当時の広間において、誰が被害者となるかは流動的だったという留保は当然考慮されるぺきだろう。

 そして今回の被害者は、モンサント侯爵令嬢アデリア。事故による怪我で第二王子セミオンとの婚約を辞退するはめになった。
 この件であり得る別の結末としては、本来の目標はモンサント侯爵その人だった……ぐらいか。

「となると犯人の目的は?」
「絞り切れぬ」

 苦々しく首を振った王は、深い懊悩の中にいた。
 狙われたのは、パルミロなのか。モンサント侯爵家なのか。それともセミオンの結婚を阻止したいのか。

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