拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「――リュティさま、フェリスベルトさまがおいでです。お通ししますよ」

 居間に顔を出したユーニスが告げて、リュティシアはハッとした。

「え、ああそう。お願いユーニス」
「まあまあ、ぼんやりしてますねえ」

 ユーニスはうふふ、と笑う。リュティシアの物思いを恋わずらいだと決めつけているのだ。
 まったく失礼な。その通りだけど!

 ササッと身だしなみを確認する。リュティシアは最近、青系のドレスを身に着けることが多かった。今日もそう。だってフェリスベルトの瞳が青灰色だからだ。

(フェルさまが下さった手袋も青灰色……自分の瞳の色を贈ってくださるのは、私への独占欲ってことよね?)

 いやまあ、婚約者や夫婦としての慣習みたいなものだが。強く望まれていると考えた方が気分がいいじゃないか。

「――リュティ」

 しかし入ってきたフェリスベルトの表情は強張っていた。浮かれていたリュティシアの気持ちがスンとなる。

「フェルさま、何かありましたの」
「少し気をつけてほしいことがあってね」

 リュティシアは、自分はマズいことをやらかしたかと瞬時に思いめぐらした。それが顔に出ていたのだろう、フェリスベルトは吹き出すのをこらえる。

「そういう意味の『気をつけろ』ではないよ。リュティは何もしていない」
「そ、そうですの」

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