拳にモノを言わせますけどよろしくて?
  ✻ ✻ ✻


 晶術師が事件に関わっているかもしれないと聞いたリュティシアは、フェリスベルトにおねだりをした。王立結晶院へ連れていけというのだ。

「私、晶化術のことをあまり知りませんもの。きちんと理解したくてと言って案内を乞えば、普段フェルさまが接している方以外とも自然にお話しできません?」
「調査のために、ということか」

 やはりリュティシアの行動は積極的で勇ましい方向性になるのだが、それも一理あるとフェリスベルトは考え込んだ。
 早く犯人を見つけ出し、安心してリュティシアとの式を迎えたい。もし犯行の目標が王族すべてだったり、あるいはガルディアとの外交を破綻させることだったりしたら、次に狙われるのは二人の結婚式になるだろう。

「……リュティを危ないことに巻きこみたくないな」

 それでもフェリスベルトは言ってみた。瞳の色がやや甘くなる。リュティシアは、ポ、と頬を染めてしまった。

「危なくなんか……お勉強をしに行くだけですもの」
「うん、まあ協力してくれるのはありがたいよ。じゃあ手配するから、あまり突っ込んだことを尋ねずにしとやかな王女さまとして振る舞うこと。いいね?」
「……私、しとやかでしてよ?」

 シレッと嘘をつくリュティシアを、フェリスベルトは難しい目で見た。信用しきれない。だがまあよかろう。

「そういうことにしておこうか。私のか弱い婚約者殿」

 スッと手を取り、甲に口づける。流れるようなその所作に不意をつかれ、リュティシアはされるがままだ。どうにもフェリスベルトには抵抗できないのが不思議だった。


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