拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「どのような種類の結晶を、どれだけ除去したか。それにより心身の調子はととのったか。術師が変わってもいいよう情報を共有しますので、施術過多の事故なども起きません」
「……事故? 晶化術をたくさん受けすぎると危険がありますの?」
「それはもう。結晶の元は人の情動……ということは精神エネルギーなわけです。極論ではありますが、ありったけ吸い出してしまったら生ける屍になるかもしれませんので」
「まあ……!」
恐ろしそうに息を飲むリュティシアに、フェリスベルトは微笑みかける。
「心配することはない。そういう事故がないように管理されている、という話だろう?」
「そうですわね。アルヴェインでは皆さま普通に受けられる診療だと聞きましたもの」
「リュティもガルディアが恋しくて眠れなくなったりしたら相談するといい」
「そんなささいな悩みでも……?」
上品に小首をかしげるリュティシアへ、晶術師はうなずいた。「お気軽にご利用ください」だそうだ。そうやって人々が心の平安を保つことで、争いの少ないおだやかな国民性が保たれているのだから。
「……そうですのね。でもそんなアルヴェインでも、事件は起こるんだわ。人の心とはなんて難しいのでしょう」
リュティシアは表情をくもらせて言ってみた。
二件目にあたる馬車の事故の詳細は伏せられているそうだ。現場検証に参加した一部の術師しか、反転晶術が使われたことは知らない。なのでリュティシアの発言は、最初の燭台落下事件についてだと思われるはず。
「王女殿下には大変申し訳ないことになってしまい……」
やはりそんな反応。案内役にも、付近にいて話を聞いていた者にも不審な素振りはない。それらを確認し、フェリスベルトは婚約者をなぐさめた。
「あの時は驚いたが、私としては嬉しい結果だよ。こんな縁がもたらされるとは思わなかったな」
「私もです……」
はにかむリュティシアを見つめるフェリスベルト。幸せそうなオーラを振りまく婚約者たちをチラ見した人々は、「こりゃ晶化術は当分必要なさそうだ」と思ったとか思わないとか。
「……事故? 晶化術をたくさん受けすぎると危険がありますの?」
「それはもう。結晶の元は人の情動……ということは精神エネルギーなわけです。極論ではありますが、ありったけ吸い出してしまったら生ける屍になるかもしれませんので」
「まあ……!」
恐ろしそうに息を飲むリュティシアに、フェリスベルトは微笑みかける。
「心配することはない。そういう事故がないように管理されている、という話だろう?」
「そうですわね。アルヴェインでは皆さま普通に受けられる診療だと聞きましたもの」
「リュティもガルディアが恋しくて眠れなくなったりしたら相談するといい」
「そんなささいな悩みでも……?」
上品に小首をかしげるリュティシアへ、晶術師はうなずいた。「お気軽にご利用ください」だそうだ。そうやって人々が心の平安を保つことで、争いの少ないおだやかな国民性が保たれているのだから。
「……そうですのね。でもそんなアルヴェインでも、事件は起こるんだわ。人の心とはなんて難しいのでしょう」
リュティシアは表情をくもらせて言ってみた。
二件目にあたる馬車の事故の詳細は伏せられているそうだ。現場検証に参加した一部の術師しか、反転晶術が使われたことは知らない。なのでリュティシアの発言は、最初の燭台落下事件についてだと思われるはず。
「王女殿下には大変申し訳ないことになってしまい……」
やはりそんな反応。案内役にも、付近にいて話を聞いていた者にも不審な素振りはない。それらを確認し、フェリスベルトは婚約者をなぐさめた。
「あの時は驚いたが、私としては嬉しい結果だよ。こんな縁がもたらされるとは思わなかったな」
「私もです……」
はにかむリュティシアを見つめるフェリスベルト。幸せそうなオーラを振りまく婚約者たちをチラ見した人々は、「こりゃ晶化術は当分必要なさそうだ」と思ったとか思わないとか。