拳にモノを言わせますけどよろしくて?
(――まるで幽鬼のよう)

 リュティシアでさえ凍りついてしまった。するとエドゥアルドがしがみついてくる。唇にギュッと力を入れて、泣くのをこらえているのが見て取れた。

「こわい」

 ひと言だけ訴えられる。そっと背をさすってあげた。

「お忙しいのかしらね――さあエディ、虫さんを探す? それとも追いかけっこ?」

 いつもなら男の子の気を引ける遊びに誘うが、エドゥアルドはかたくなにリュティシアのドレスに顔を埋めている。

「……こわいよ」

 そう繰り返して。


  ✻


 日が暮れる頃、帰ってきたフェリスベルトはまだリュティシアがいることに驚いた。居間のソファに並んで座り、優しい目でエドゥアルドに微笑んでいる。

「リュティ……エディは具合が悪いのか?」
「お帰りなさいませ。体はだいじょうぶですのよ」
「お父さま、あのね」

 エドゥアルドは顔を上げたが、リュティシアの胸にくっついたままだ。そこはとても安心できる場所。こうしているわけを、エドゥアルドは父に訴えた。

パウミオ(・・・・)お兄さま、へん」
「パルミロ? ……会ったのか」

 フェリスベルトは胸がざわつくのを感じた。
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