拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 席についたのはリュティシアとガルディア使節団代表の外務卿。相手はアルヴェイン国王と王弟、そしてその息子――というよくわからない顔ぶれだった。茶と菓子を出した後にメイドも人払いされてしまう。

「私の侍女も席を外しましょうか?」
「いや、かまわない――あなたの信用する者ならば」

 お墨付きを得てユーニスはそっと数歩後ろに立った。
 たぶん侍女ごときにできることは何もないが、これは婚約破棄どうのこうのの話し合いに違いない。一人でも味方が多くいた方が心強いだろう。リュティシアのためにさりげなく圧を飛ばす気満々だ。

「まず、このような場所で会談を開いたことをお詫びしたい」

 王は口を開いた。

「このエドゥアルドが伸び伸びしていられる環境でお会いいただきたかったのでな。執務室では堅苦しくていかん」
「エドゥアルドさま、ですか」

 妙な理由だ、と本人に目をやったらエドゥアルドはお菓子を目の前にしてウズウズしていた。リュティシアは吹き出したくなるのをこらえる。

「陛下、お茶とお菓子をいただいても?」
「あ、ああもちろん」

 許しが出るまで我慢していたエドゥアルドの顔がパアッと明るくなる。リュティシアはカップへ手を伸ばしつつ話しかけた。

「エドゥアルドさま、お茶をご一緒させていただきますね。これはお好きなお菓子ですの?」
「うん! じゃなくて、はい! ぼく、このジャムのクッキーだいすきなの!」

 丁寧語を使おうという努力がすぐに霧散してしまうエドゥアルドが愛らしい。大きなクッキーを両手で大事に持ち、あむ、とかじりつく様子も最高だ。リュティシアはまなじりをとろけさせた。

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