拳にモノを言わせますけどよろしくて?
✻
王弟子息エドゥアルドによる騎士団への視察は、即日行われた。といっても大仰なものではなく、フェリスベルトから騎士団長へ「すまんがあれこれ見せてやってくれ」とひと声掛けただけだ。
付き添いは普段から王弟一家の護衛にあたっている騎士数名と――もちろんリュティシアも参加する。故国ガルディアでは体術の訓練に加わることもあったリュティシアだが、今日はおとなしく見ているつもりだ。
「おうまさんもいるの?」
「もちろんおりますぞ。エドゥアルドさまは馬がお好きですか」
そろそろ老年に差し掛かった騎士団長が迎えに来てくれて、エドゥアルドと並んで歩く。なんだか孫を連れているようにも見えて微笑ましかった。
「おうまさんも、ムシさんもすき」
「ほう、生き物すべてにご興味がおありと。けっこうですなあ」
騎士団長は外に出たところで立ちどまり、リュティシアにも優しい視線を配った。
「騎士たちの基本鍛錬は朝いちばんで終わっております。今はそれぞれ武闘会へ向けての自主稽古や馬の手入れをしている時間ですが……どちらからご案内しましょうか」
「そうですのね。エディは剣術や体術を見たいのかしら? それともお馬さんのお世話?」
「え……ええと、ぼく……おうまさん」
エドゥアルドはモジモジする。剣の稽古がしたくて連れてきてもらったのに、馬に興味をひかれたのが恥ずかしかったのだ。でもリュティシアはとろけるように笑った。
「エディはいろいろな事を知りたいのよね。フェルさまに似て研究熱心なのは、とても素敵だと思うわ」
「そう……?」
エドゥアルドはその言葉に自信を取り戻し、フンスと鼻をふくらませる。リュティシアとの関係がとてもうまくいっているのが見て取れて、騎士団長は王弟の婚約者に感心した。
若いのに、なさぬ仲の息子をしっかり育ててくれそうな女性だ。さすが〈育成〉の加護を持つというだけのことはある!
王弟子息エドゥアルドによる騎士団への視察は、即日行われた。といっても大仰なものではなく、フェリスベルトから騎士団長へ「すまんがあれこれ見せてやってくれ」とひと声掛けただけだ。
付き添いは普段から王弟一家の護衛にあたっている騎士数名と――もちろんリュティシアも参加する。故国ガルディアでは体術の訓練に加わることもあったリュティシアだが、今日はおとなしく見ているつもりだ。
「おうまさんもいるの?」
「もちろんおりますぞ。エドゥアルドさまは馬がお好きですか」
そろそろ老年に差し掛かった騎士団長が迎えに来てくれて、エドゥアルドと並んで歩く。なんだか孫を連れているようにも見えて微笑ましかった。
「おうまさんも、ムシさんもすき」
「ほう、生き物すべてにご興味がおありと。けっこうですなあ」
騎士団長は外に出たところで立ちどまり、リュティシアにも優しい視線を配った。
「騎士たちの基本鍛錬は朝いちばんで終わっております。今はそれぞれ武闘会へ向けての自主稽古や馬の手入れをしている時間ですが……どちらからご案内しましょうか」
「そうですのね。エディは剣術や体術を見たいのかしら? それともお馬さんのお世話?」
「え……ええと、ぼく……おうまさん」
エドゥアルドはモジモジする。剣の稽古がしたくて連れてきてもらったのに、馬に興味をひかれたのが恥ずかしかったのだ。でもリュティシアはとろけるように笑った。
「エディはいろいろな事を知りたいのよね。フェルさまに似て研究熱心なのは、とても素敵だと思うわ」
「そう……?」
エドゥアルドはその言葉に自信を取り戻し、フンスと鼻をふくらませる。リュティシアとの関係がとてもうまくいっているのが見て取れて、騎士団長は王弟の婚約者に感心した。
若いのに、なさぬ仲の息子をしっかり育ててくれそうな女性だ。さすが〈育成〉の加護を持つというだけのことはある!