拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 どういうことだ。息子は何を言っている。

「エディ、何が見えているというんだ?」
「フェルさま。先ほどエディが手を触れたら、怪我をした殿下たちを包んでいた黒い影が晴れましたのよ」
「……なに?」
「陛下も最近、妙に胸がふさいだりなさいませんこと? もしそうなら、このエディと手をつないでやってくださいませんでしょうか。お苦しみが晴れるかもしれません」

 王はその申し出に眉をひそめた。何を馬鹿な、と思う。だがすぐに手を差し出した。甥と手を取るだけだ。怖れることはない。

「エドゥアルド、おいで」
「……はい」

 リュティシアとともに進み出て、エドゥアルドは王の手に手を重ねる。

「……お、おおっ」
「兄上!」

 国王がもらしたうめき声にフェリスベルトは焦った。何がどうしたのか、まったくわからない。だが慌てる弟を片手で制した王の顔色はいきなり明るくなっていた。

「どうしたことだ……スウと気持ちが軽くなったぞ」
「は? 本当ですか」

 それでもまだ半信半疑のフェリスベルトは息子の顔をのぞき込んだ。父に笑いかける、ホッとしたような顔。

「もうへいか、こわくない」
「なんだって……」
「不思議でしょう、フェルさま? エディが消してしまえる暗い影。もうなんらかの魔法なのではないかと。そんな晶化術はありませんの? 私にはわからなくて」

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