拳にモノを言わせますけどよろしくて?
作動した反転晶術に触れるのは危険をともなう。また、こんなに大きな結晶を扱うすべなど結晶院でも確立していなかった。
「弱って傷ついた王子たちなど、呪いにより力尽きましょう……エリセテさま……もうお目に掛かれないこと、お許しを……」
つぶやいて、ジェレミアスは動かなくなった。
ゴトリ。
大きな灰色の結晶がジェレミアスの背で床に転がる。
ジェレミアスがみずからに使ったのは禁忌とされる処方だ。
規定をはるかに超える量の、しかも心の何もかもひっくるめて吸い取ってしまう陣。以前「生ける屍になるかも」と説明されたことがある。
「――フェルさま」
口中が渇くのをこらえ、リュティシアは婚約者に呼びかけた。
ジェレミアスは死んでしまったのだろうか。いや、肉体はまだ生きているのかもしれない。だけどそれを確かめるより、今リュティシアにはやらねばならないことがある!
「エディをお願いしますわ。私――」
キラリ。
瞳に強い光が宿る。
黒い呪いに怯えるエドゥアルドを駆け寄ったフェリスベルトに託し、リュティシアはグッと拳を握った。
愚かな晶術師の願い――叶えるわけにはいかない!
「この呪い、ぶち壊しますわ! よろしくて?」
「ああ――やってくれリュティ!」
加護〈剛力〉が発動!
思いきり拳を引き、黒く輝く悲しい結晶へ――!
バキィィ――ンッ!
リュティシア渾身の一撃は、ジェレミアスが生んだ呪いを粉々に砕いた。その粉塵を吸わないように三人とも扉の外へ逃げる。リュティシアは拳を開いて握って、うなずいた。
「ふう――手袋があって助かりましたわね!」
反転晶術が作動した結晶に触るのは――そう言われていたけど、きっと大丈夫だと思っていた。手袋越しだから。
しかもこの革手袋は、フェリスベルトからの愛にコーティングされているのだ!
「弱って傷ついた王子たちなど、呪いにより力尽きましょう……エリセテさま……もうお目に掛かれないこと、お許しを……」
つぶやいて、ジェレミアスは動かなくなった。
ゴトリ。
大きな灰色の結晶がジェレミアスの背で床に転がる。
ジェレミアスがみずからに使ったのは禁忌とされる処方だ。
規定をはるかに超える量の、しかも心の何もかもひっくるめて吸い取ってしまう陣。以前「生ける屍になるかも」と説明されたことがある。
「――フェルさま」
口中が渇くのをこらえ、リュティシアは婚約者に呼びかけた。
ジェレミアスは死んでしまったのだろうか。いや、肉体はまだ生きているのかもしれない。だけどそれを確かめるより、今リュティシアにはやらねばならないことがある!
「エディをお願いしますわ。私――」
キラリ。
瞳に強い光が宿る。
黒い呪いに怯えるエドゥアルドを駆け寄ったフェリスベルトに託し、リュティシアはグッと拳を握った。
愚かな晶術師の願い――叶えるわけにはいかない!
「この呪い、ぶち壊しますわ! よろしくて?」
「ああ――やってくれリュティ!」
加護〈剛力〉が発動!
思いきり拳を引き、黒く輝く悲しい結晶へ――!
バキィィ――ンッ!
リュティシア渾身の一撃は、ジェレミアスが生んだ呪いを粉々に砕いた。その粉塵を吸わないように三人とも扉の外へ逃げる。リュティシアは拳を開いて握って、うなずいた。
「ふう――手袋があって助かりましたわね!」
反転晶術が作動した結晶に触るのは――そう言われていたけど、きっと大丈夫だと思っていた。手袋越しだから。
しかもこの革手袋は、フェリスベルトからの愛にコーティングされているのだ!