拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「それも考えてはみたが……おまえ自身はその気がないと?」
「当然です」
「うむ。まあ事件の詳細を知る者からは疑義が上がるかもしれん。なのでこうしようと思う」

 国王はフフ、とおだやかに微笑む。そして視線が――この場でいちばん年若い者の上に落ちた。

「エドゥアルド、そなたに王太子たることを命じよう」

 いきなり名を呼ばれたエドゥアルドが目をパチクリした。

「はいっ……?」
「おお、よい返事だ。ではそういうことで決まりだな」
「あ、兄上! それは!」

 フェリスベルトの声がひっくり返る。リュティシアもあっけに取られた。
 二人は話し合っていたのだ。パルミロもセミオンも、これから親になる可能性が多々ある。その子が王として独り立ちする日まで大人全員で支えればいい、と。ジェレミアスに推された血すじとして、表舞台に立つつもりなど毛頭なかった。

「いけません、エドゥアルドも……ジェレミアスの願いを叶えることに」
「しかしエドゥアルドはあの呪いを解いた、光明の子どもだぞ。心優しく学びに向かう気持ちもあり、太子として立つ資質なら申し分なかろう」

 手を握るだけで心を晴らしてくれたエドゥアルドの中に、王は光を見出している。この子なら、闇に呑まれ国を誤ることはないだろうと。
 ……その通り、エドゥアルドは正直者だ。普通に口をすべらせる。

「ううん、のろいをこわしたのは、おか……むぐっ」

 リュティシアが口をふさいだ。〈剛力〉については秘密なのだ。
 あの特大結晶はジェレミアスが壊したようだと申告してある。決して物理的損壊などではない!

「……どうした?」
「い、いえその……この子はまだ幼く、資質を見極めるには早いのではございませんこと? 私どもはひっそりと王位を支えたいと思っておりまして」
「なんとも控えめだが、そなたは〈育成〉の加護を持つ。エドゥアルドをしっかり導いてやってほしい」
「うんうん! ぼく、お母さまだいすき! お母さまがいっしょなら、ぼくがんばるね!」
「うむ! 大変よい心がまえだ! 頼んだぞエドゥアルド!」

 反論空しく、事は決したようだ。


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