拳にモノを言わせますけどよろしくて?

 アルヴェイン国王とて、王子に嫁いで来たはずの姫を王弟――こぶ付き男の後妻にと提案するのはためらわれた。若くて初婚の王女に対して失礼千万。ガルディアから激怒されても仕方ない。

 だが考えてみれば、フェリスベルトは誠実で真っ当な男なのだ。
 国王自身は弟として信頼している。政務をある程度担わせて過不足なくこなす能力もあった。第二王妃の子だったことと兄との年齢差からか、遠慮がちに補佐に回ってくれているのが不憫だ。その上妻に先立たれたとあり、良縁があるならば再婚して幸せになってもらいたいと前から思っていた。

「リュティシア王女、話を聞いていただけますか」

 新たな婚約者候補となったフェリスベルトはみずから口を開いた。せめてそうしなくてはリュティシアに対して不誠実だと思う。

「せっかくアルヴェインへお迎えしたあなたを、このまま送り返しては友好国の名にもとる。そうせずに済ませるため、できることはないかと方策を探したのです」

 婚約のすげかえを兄王に相談されたフェリスベルトは、しばらく考え込んだ末に「アルヴェイン王国のためになるなら」と了承した。だがそれは自分の身もしみじみ振り返った末の決意だ。
 エドゥアルドを産んで命を落とした妻のことは、ずっとフェリスベルトの心に影を落としている。しかし母を知らない息子に家族というものを教えてやりたいとも思ったのだ。

「リュティシア王女は明るく優しげなお方です。このエディもあなたの行動力やお人柄を慕っているようだ。あなたのような女性がそばにいてくれたら、私はとても嬉しい」

 静かに想いに沈むリュティシアは、ティーカップのふちをツ、と指でなぞった。

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