拳にモノを言わせますけどよろしくて?
二十歳のセミオンはなかなかの好男子で、栗色のサラサラした髪はまさに王子さま。ややはにかみながらニコリと会釈してくる。
(――甘やかされた次男坊ってやつかしら)
リュティシアの抱いた第一印象はそれだった。
初めて会う婚約者に対して辛らつな評かもしれない。でも否定的な気持ちで見ているわけではなかった。
王族に嫁ぐとはいえ第二王子なら、妃の責は重くない。その点セミオンはとてもありがたい相手――だって、リュティシアはゆるく生きたい!
「お会いできて嬉しく思います。リュティシアでございます」
「セミオンだ。こんなに美しい人を迎えるとは、照れてしまうな」
二人は近く歩み寄り遠慮がちにまなざしを交わす。国同士が決めた婚約なので、もちろん今日が初対面だ。
これから半月ほど、リュティシアは王宮に客人として滞在しながら結婚式の準備をする。その間に二人は理解し合い、仲を深めなくてはならなかった。
リュティシアの役目はそれだけではない。アルヴェインの王族・主要貴族の勢力図や人柄を頭に叩き込み、宮廷で立ち回れるようになるのが急務だった。
そのあたりリュティシアは苦手なのだ。だって何か問題があれば――腕力で解決したくなるのがリュティシアだから。
加護・剛力。
それがリュティシアの授かった祝福だ。