拳にモノを言わせますけどよろしくて?
  ✻


 そしてリュティシアを迎え入れてくれたエリセテ太后は気さくな微笑みの女性だった。ひと目会ってすぐにリュティシアの肩の力が抜ける。エリセテはたんに控えめで、隠遁生活を好む人だとわかったのだ。
 ちょっと裕福な家庭ぐらいの素朴な内装に調えてある、こじんまりした居間。エリセテは手ずからお茶を淹れてくれた。添えられたベリーのパイはお手製ではないけれど、とお茶目に笑う。

「わざわざ来ていただいてありがとう。あなたをお迎えする式典に出なかったのは……ほら、セミオン殿下は私の血すじではないから、ご遠慮申し上げたのよ」

 エリセテは困ったようにまなじりを下げる。
 そうだった。この人も後妻の立場にあり、なさぬ仲の息子を国王になるまで見守ってきた女性。出身は下位貴族だとも聞いたし、とにかく遠慮がちなだけなのだ。どうやらリュティシアに対してものんびりとかまえてくれているらしい。

「フェリスベルトをどうかよろしくお願いします。派手なことは苦手な子だから面白味はないと思うけど」
「母上」

 いたずらな顔で告げ口されてフェリスベルトは渋面になる。だがリュティシアはニッコリ笑った。

「でしたらフェリスベルトさまに嫁ぐことになってよかったと思います。私の国は質実剛健の気風がありますので」
「そうだわ、ガルディアの方ですものね。あと……加護をお持ちだとか。エドゥアルドのことも愛してくださると嬉しいわ」
「お母さまとぼく、もうなかよしだよ!」

 エドゥアルドはギュッとリュティシアにくっついてみせる。エリセテは安心したように笑った。

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