拳にモノを言わせますけどよろしくて?
婚約者には旅をさせよ

6 初めての船旅

  ✻ ✻ ✻


「ねえお母さま、ガユイア(・・・・)ってどんなところ?」

 最近のリュティシアの日課はフェリスベルトを訪ねることだ。フェリスベルト自身は執務のために宮廷へ出ていることも多いが、部屋にエドゥアルドは残っている。
 また執事やエドゥアルドの養育係など、王弟一家に関わる者たちの人となりを把握したいとも考えていた。結婚するまでにリュティシアの侍女ユーニスも含め、関係を深めておくべきなのだった。

「そうね、ガルディアは山の上にある小さな国よ。まわりの国からは峠を越えたり谷を抜けたりしないとたどり着けないの。深い森と湖があって、王家のお城は砦のように堅牢だわ」
「うわあ、物語の国みたい!」

 エドゥアルドは楽しそうに足をパタパタする。
 今日いるのはエドゥアルドの子ども部屋。明るい窓辺にクッションを置いて、腰をおろしたリュティシアの膝にエドゥアルドはまとわりついているのだ。
 そこには養育係を務めてきたカティアという中年女性も同席している。ごろごろ寝そべるエドゥアルドが「行儀が悪い」と叱られないかリュティシアは心配したのだが、カティアは大らかな人物のようだ。

「リュティシアさまは加護を宿していらっしゃるんですから、ますます物語ですよ?」
「ほんとうだね!」

 カティアはニコニコとエドゥアルドを焚きつける。実際にガルディアを舞台にしたと思われる子ども向けの物語があるのだそうだ。

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