拳にモノを言わせますけどよろしくて?
✻ ✻ ✻
「わあ――!」
動き出した船のデッキでリュティシアは歓声をあげてしまった。はしたない。でも隣にいるフェリスベルトは微笑みを浮かべてくれた。
「どうだろうか、船は?」
「気持ちいいですわ……!」
船足が上がるにつれ強まる川風に、リュティシアは帽子を押さえる。朝の空気はしっとりとして、今日は結い上げずにおろしているリュティシアの髪を揺らした。
この河は王都アルヴィニスから河口の港町ポルテスまで通じる。下っていく船は大きく、安定していた。
「お母さま、おふねすき?」
「今、好きになったわ。エディと一緒に旅行だなんて夢みたいね」
笑顔を交わすリュティシアとエドゥアルド。それを見守るフェリスベルト――だがこれは、家族旅行ではない。王弟フェリスベルト殿下の産業視察だ。それにリュティシアたちがくっついて来ただけ、という体裁になっている。
海を知らないリュティシアのためにフェリスベルトが誘った旅。王弟殿下は婚約者と親しくなろうと努力中なのだった。
「私は視察で離れる時間も多いが……」
「心配なさらないで。執事のヴァルター、護衛のトルカート、エディにはカティアも付けていただいたし、私のユーニスまで連れてきてくださって」
「それは当然だよ」
リュティシアが名をあげた面々が、少し後ろに控えながら頭を下げた。
「わあ――!」
動き出した船のデッキでリュティシアは歓声をあげてしまった。はしたない。でも隣にいるフェリスベルトは微笑みを浮かべてくれた。
「どうだろうか、船は?」
「気持ちいいですわ……!」
船足が上がるにつれ強まる川風に、リュティシアは帽子を押さえる。朝の空気はしっとりとして、今日は結い上げずにおろしているリュティシアの髪を揺らした。
この河は王都アルヴィニスから河口の港町ポルテスまで通じる。下っていく船は大きく、安定していた。
「お母さま、おふねすき?」
「今、好きになったわ。エディと一緒に旅行だなんて夢みたいね」
笑顔を交わすリュティシアとエドゥアルド。それを見守るフェリスベルト――だがこれは、家族旅行ではない。王弟フェリスベルト殿下の産業視察だ。それにリュティシアたちがくっついて来ただけ、という体裁になっている。
海を知らないリュティシアのためにフェリスベルトが誘った旅。王弟殿下は婚約者と親しくなろうと努力中なのだった。
「私は視察で離れる時間も多いが……」
「心配なさらないで。執事のヴァルター、護衛のトルカート、エディにはカティアも付けていただいたし、私のユーニスまで連れてきてくださって」
「それは当然だよ」
リュティシアが名をあげた面々が、少し後ろに控えながら頭を下げた。