拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 しかしそんな人々の願いもむなしく、小さな男の子はあちこちの隙間をのぞきこみ、通路に入り込もうとしてはリュティシアに引き戻されていた。ユーニスはクスクス笑ってしまう。

(リュティさまが誰かをたしなめる側に回るだなんて!)

 ガルディアではあまり見たことのない光景だ。でも肩をふるわせ笑いをこらえていると、トルカートに不思議そうにされる。

「……どうしました」
「あ、いえ。リュティさまも大人になられたなと思って」
「はい……?」

 隙のない護衛はリュティシアとエドゥアルドから目を離さない。トルカートにとってリュティシアの行動は十分に若々しく少女のように思えた。「大人になった」と言われても。

「……はずむように歩く女性ですね」
「すみません、あれでも落ち着いてきたんですよ」

 侍女の歯に衣着せぬ言い方にトルカートは無言になった。何を言っても藪蛇のような気がしたのだ。もしや本国ではとんでもないお転婆姫だったのか。
 だが明るくて元気なリュティシアが婚約者として側にいるようになってから、フェリスベルトは変わってきている。ほんの少し雰囲気がゆるくなった。それはトルカートにとって嬉しいことだ。フェリスベルトには以前の成婚の頃から仕えてきたので、できるなら幸せを取り戻してほしかった。

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