拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 甲板より上は客室になっている。その廊下をグルリとめぐったエドゥアルドはふたたび階段を下り、デッキへ戻ってきた。これより下にあるのは荷室と機関室。子どもの立ち入る場所ではないと思ったリュティシアがそっと手を引く。

「さあエディ、そろそろお部屋に落ち着いてみましょうよ」
「はあい。たんけんたのしかったね!」

 いいお返事をしたエドゥアルドだったが、下の機関室から出てきたフェリスベルトが階段に姿を現した。

「お父さま!」

 探検の報告がしたくてエドゥアルドは階段を駆け下りようとする。しかし船員用のここは、よそよりも急なのだ。ガクッと足を踏み外す。

「エディ!」

 手をつないでいたリュティシアも引きずられて落ちそうになった。

「失礼!」

 リュティシアの体をグイッと支えてくれたのはトルカートだった。上から体と腕を伸ばし、なんとかつかまえて落下を防ぐ。リュティシアなら手すりを握る腕力で問題なかったのだが――これはか弱い女性をよそおうべき場面か。
 息子と婚約者の危機に階段の下で悲鳴を飲み込んだフェリスベルトは、慌てて駆け上がってきた。

「エディ! リュティシア!」
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