拳にモノを言わせますけどよろしくて?
リュティシアは体当たりして二人を突き飛ばした。倒れ込む三人の後ろで燭台が床に落ち、けたたましい音をたてる。
――――。
広間が静まり返った。いったい何が起こったのか。
「か……かっこいい!」
静寂を破ったのは男の子の声だった。国王の横に並んでいた、あの子。興奮しきりで横の男性を見上げる。
「すごいね、お父さま! おひめさま、あしがはやいよ!」
「しいっ、エディ。お式の間はしゃべらないと約束したろう」
リュティシアは体を起こし、その様子に目を丸くした。彼らは父子だったのか。
父親らしき人はとっさに息子を腕にかばい、燭台に背を向けていた。周囲に配る視線は厳しいが、「エディ」と呼びかけた声はやわらかい。息子を怯えさせない配慮だろう。
でもとにかくリュティシアはすぐ横に倒れている王太子妃を助け起こした。自力でヨロヨロ起き上がった王太子パルミロも含めリュティシアがなぎ倒した形なので、いちおう申し訳ない。
「お怪我は?」
「……いえ。危ないところをありがとう」
王太子妃フロリアーナは、青ざめながら礼を言った。リュティシアがいなければ燭台に潰されかねなかったのはわかる。
振り返れば床には豪奢な灯火の台座と、何かの欠片が砕けて散乱していた。だがそれは一般的なろうそくではなかった。何故か赤黒い。
――――。
広間が静まり返った。いったい何が起こったのか。
「か……かっこいい!」
静寂を破ったのは男の子の声だった。国王の横に並んでいた、あの子。興奮しきりで横の男性を見上げる。
「すごいね、お父さま! おひめさま、あしがはやいよ!」
「しいっ、エディ。お式の間はしゃべらないと約束したろう」
リュティシアは体を起こし、その様子に目を丸くした。彼らは父子だったのか。
父親らしき人はとっさに息子を腕にかばい、燭台に背を向けていた。周囲に配る視線は厳しいが、「エディ」と呼びかけた声はやわらかい。息子を怯えさせない配慮だろう。
でもとにかくリュティシアはすぐ横に倒れている王太子妃を助け起こした。自力でヨロヨロ起き上がった王太子パルミロも含めリュティシアがなぎ倒した形なので、いちおう申し訳ない。
「お怪我は?」
「……いえ。危ないところをありがとう」
王太子妃フロリアーナは、青ざめながら礼を言った。リュティシアがいなければ燭台に潰されかねなかったのはわかる。
振り返れば床には豪奢な灯火の台座と、何かの欠片が砕けて散乱していた。だがそれは一般的なろうそくではなかった。何故か赤黒い。