拳にモノを言わせますけどよろしくて?
 リュティシアは伸した相手に目もくれず、人質の元へ駆けつける。

「――エディ!」

 リュティシアは素早くエドゥアルドを解放した。大きな怪我がないことを確かめ、そうっと抱き上げる。砂浜で遊んだままの裸足がこんな場所では痛々しかった。

「エディ……ああエディ、ごめんなさい。目を離したりして」
「お母さまぁ……! ぼくもごめんなさい、カニさんをおいかけて、とおくまでいっちゃったの」
「エディ! リュティシア!」

 フェリスベルトも血相変えて飛んでくる。武闘派ではないフェリスベルトは、突入に参加するのを全員から禁じられて後ろに控えさせられていたのだ。

「エディ……」

 そんな自分への情けなさもあり、フェリスベルトは顔をゆがめる。リュティシアごとエドゥアルドを抱きしめた。

「すまない、のんびり遊ばせてやりたくて護衛を遠ざけておいたのがまずかった」
「お父さま……ふぇっ、ふえぇーん」
「エディ、泣くな。もう大丈夫だ」

 感動的な親子の再会。そして流れで一緒に抱きしめられているリュティシア――なのだが、どこまでも勇ましい〈剛力〉姫は甘い雰囲気をブチ壊す。フェリスベルトに息子を渡すと凛々しく言い放った。

「フェリスベルトさまのせいじゃありませんわ――悪いのは、あいつらです!」

 ビシッ。
 リュティシアはお縄についたゴロツキどもを指差した。その手の関節が薄っすら赤くなっている。気づいたフェリスベルトは息を飲んだ。

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