拳にモノを言わせますけどよろしくて?
  ✻ ✻ ✻


 リュティシアが持つ加護の真実について、エドゥアルドには内緒にされた。うっかり口をすべらせないとも限らない小さな子どもだからだ。
 エドゥアルドは普通の兵士や騎士の強さすら、ろくに目の当たりにしていない。なのでリュティシアの闘いの異常さはわからなかったようで――。

「ぼく、お母さまみたいになりたい。おけいこしたいの」

 真剣にお願いされてしまった。居間のソファでくつろぎながらだが、子どもなりに大真面目な顔をしている。

「お母さまはガウリア(・・・・)のみんなのおけいこをみてたから、つよいんでしょう? まちのおじさんはケンカのやりかた、しらないんだね」
「うーん、そうかもしれないわ」

 確かにリュティシアは、〈剛力〉を活かすために武術の基本は習った。「町のおじさん」ごときより喧嘩のやり方には詳しいかもしれない。でもその言われ方にフェリスベルトは笑ってしまった。

「リュティは頼もしかったけど、エディが学ぶべきは剣や馬かもしれないぞ」
「うわぁ、それもカッコいいねえ」
「だろう? そうだな、あとは兵の動かし方……その前に国同士のやり取り。エディは何かあった時に皆の上に立ちパルミロ王太子を助けなければならない。なるべく兵を傷つけないように、民を飢えさせないように国を守るんだ」
「いちばん難しくて大変なことよ。エディは頑張れるかしら?」
「……がんばるっ」

 エドゥアルドが王族の責任を本当に理解するのはまだ先のこと。だが今からでもその気概を教えるに早いことはない。
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