拳にモノを言わせますけどよろしくて?
  ✻ ✻ ✻


 宮廷から奥へ戻ったフェリスベルトが珍しく部屋を訪ねてきて、リュティシアは首をかしげた。そして告げられたのは華やかな催しについてだ。

「――舞踏会、ですの?」

 リュティシアは目をパチパチする。

「ああ。元々は兄上――陛下の誕生日を祝う会で、毎年恒例なんだが。今回は我々の結婚に向けたお披露目も兼ねることになった。私とリュティも主役のひとりだよ」
「まあ……」

 結婚。そう聞くとリュティシアはちょっと照れてしまう。二人の式は日取りも確定し、少しずつ準備が進められているところだ。
 式は本格的な夏になってから。少々先になってしまったのは、その前に夏至祭があるからだった。
 夏の到来を祝うこの祭は、民が心待ちにするもの。盛大な祝祭と結婚式の時期がかぶるのはよくないとしてそちらを優先させたのだった。

 でもリュティシアにとってはそれでよかった。
 結婚となると、フェリスベルトの妻であるリュティシアというものをイメージしなくてはならない。エドゥアルドの継母として楽しく過ごすだけではいられない気がしてリュティシアは焦ってきていた。自分はフェリスベルトに何を望んでいるのだろう。

「陛下のお祝いなら、大勢お集まりでしょうね」
「ダンスは得意かな? リュティの身のこなしにキレがあるのは知っているが……」
「まあどうしましょう。私、フェルさまを蹴り飛ばしてしまうかも」

 冗談に冗談で言い返し、二人でクスクス笑う。もちろん舞踏会ぐらい立派にこなしてみせるつもりだった。

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