拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「婚約者として出る舞踏会は、これが最初で最後だな……リュティは私とうまくいっていると貴族たちに示しておきたい」
「……セミオンさまはお元気ですの?」
いちおう確認した。リュティシアの立場が確固たるものだと誇示せねばならないのは、最初の婚約者だったセミオンのせい。謹慎は解かれたと聞いたが、どうしているのか。
「うーん……表ではしっかり振る舞っているようだが」
「何かご心配がありまして?」
「……先日、パルミロと言い争ったと聞いた。とても仲の良い兄弟のはずなのに何があったのか」
それは王宮の奥向きに仕える者たちがささやく噂だった。王太子パルミロに、弟のセミオンが何やらきつい言葉で食ってかかったとか。そしてパルミロもきつく言い返したらしい。
彼らはフェリスベルトが弟のように見守ってきた甥たちだ。パルミロの結婚やセミオンの婚約破棄などを経て、何かが変わってしまったとしたら仲裁に入りたい。だがフェリスベルト自身がその婚約破棄の後始末に関わる立場になった。それだけにセミオンとの接し方には迷う。
「セミオンにも新しい縁談があるといいんだ。幸せを感じれば、あいつも立ち直るだろう」
フェリスベルトは親身になって案じるのだが、リュティシアにとってセミオンは「甘ったれで失礼な第二王子」だ。勝手になさいませ、と思う。だがさすがに取りつくろって微笑んだ。
「お元気におなりあそばすとよろしいわね」
「……ああすまない。リュティにとっては不愉快な話だったな」
「あら、そんなことありませんわよ?」
「いいや、そういう顔をしている。リュティのことが大分わかるようになってきた」
リュティシアの抱くセミオンへの憤りをとがめることもなく、フェリスベルトは笑う。
この人にはなんだか敵わない気がしてリュティシアは困ってしまった。
「……セミオンさまはお元気ですの?」
いちおう確認した。リュティシアの立場が確固たるものだと誇示せねばならないのは、最初の婚約者だったセミオンのせい。謹慎は解かれたと聞いたが、どうしているのか。
「うーん……表ではしっかり振る舞っているようだが」
「何かご心配がありまして?」
「……先日、パルミロと言い争ったと聞いた。とても仲の良い兄弟のはずなのに何があったのか」
それは王宮の奥向きに仕える者たちがささやく噂だった。王太子パルミロに、弟のセミオンが何やらきつい言葉で食ってかかったとか。そしてパルミロもきつく言い返したらしい。
彼らはフェリスベルトが弟のように見守ってきた甥たちだ。パルミロの結婚やセミオンの婚約破棄などを経て、何かが変わってしまったとしたら仲裁に入りたい。だがフェリスベルト自身がその婚約破棄の後始末に関わる立場になった。それだけにセミオンとの接し方には迷う。
「セミオンにも新しい縁談があるといいんだ。幸せを感じれば、あいつも立ち直るだろう」
フェリスベルトは親身になって案じるのだが、リュティシアにとってセミオンは「甘ったれで失礼な第二王子」だ。勝手になさいませ、と思う。だがさすがに取りつくろって微笑んだ。
「お元気におなりあそばすとよろしいわね」
「……ああすまない。リュティにとっては不愉快な話だったな」
「あら、そんなことありませんわよ?」
「いいや、そういう顔をしている。リュティのことが大分わかるようになってきた」
リュティシアの抱くセミオンへの憤りをとがめることもなく、フェリスベルトは笑う。
この人にはなんだか敵わない気がしてリュティシアは困ってしまった。