拳にモノを言わせますけどよろしくて?
(でもフェルさまは――)
この結婚をどう考えているのだろう。
セミオンから斜め上へとスライドされて縁組した婚約者リュティシアのこと、嫌ってはいないと思う。しかし面白がっているだけかもしれないじゃないか。女にしては妙ちくりんな加護と、武の国ガルディア風の振る舞いが物珍しくて。
そしてリュティシアには自分の心もよくわからなかった。
フェリスベルトのことは尊敬するし、エドゥアルドの良き父だと思う。だが妻として夫として二人が並ぶことを想像すると――。
「ふぇっ」
リュティシアはしゃっくりのような声をあげた。茶菓子の用意をしていたユーニスとカティアが眉をくもらせる。リュティシアの頬がほんのり赤かった。
「どうなさいました。お風邪でも?」
「う、ううん。なんでもないわ、だいじょうぶ」
そう言ったけど、全然大丈夫じゃない。
リュティシアは結婚式で直面するであろう、誓いの口づけのことが頭をよぎっただけで動揺してしまったのだ。
舞踏会で、肩に手を添えて踊りながら見上げたフェリスベルトの優しい瞳。あれが微笑みながら近づいてきたら――。
(あ、う、ちょっ……駄目だわ投げ飛ばしてしまいそう!)
でもそれは決して嫌だからではない。と思う。じゃあどうして。
理由などわからないが、考えただけで心臓がバクバクするリュティシアだった。
この結婚をどう考えているのだろう。
セミオンから斜め上へとスライドされて縁組した婚約者リュティシアのこと、嫌ってはいないと思う。しかし面白がっているだけかもしれないじゃないか。女にしては妙ちくりんな加護と、武の国ガルディア風の振る舞いが物珍しくて。
そしてリュティシアには自分の心もよくわからなかった。
フェリスベルトのことは尊敬するし、エドゥアルドの良き父だと思う。だが妻として夫として二人が並ぶことを想像すると――。
「ふぇっ」
リュティシアはしゃっくりのような声をあげた。茶菓子の用意をしていたユーニスとカティアが眉をくもらせる。リュティシアの頬がほんのり赤かった。
「どうなさいました。お風邪でも?」
「う、ううん。なんでもないわ、だいじょうぶ」
そう言ったけど、全然大丈夫じゃない。
リュティシアは結婚式で直面するであろう、誓いの口づけのことが頭をよぎっただけで動揺してしまったのだ。
舞踏会で、肩に手を添えて踊りながら見上げたフェリスベルトの優しい瞳。あれが微笑みながら近づいてきたら――。
(あ、う、ちょっ……駄目だわ投げ飛ばしてしまいそう!)
でもそれは決して嫌だからではない。と思う。じゃあどうして。
理由などわからないが、考えただけで心臓がバクバクするリュティシアだった。