拳にモノを言わせますけどよろしくて?
しかしこの機械、一般に普及させることはないだろう。動力としての結晶が希少で大量生産できないからだ。
しかしそうとわかっていても製造する価値はある。病気療養などの限定的な使用とはなるが、夏期に氷があれば助かる場面も多いはず。フェリスベルトは、まず療術院への設置を目指して開発をバックアップしている。
「――このぶんなら夏至祭への展示はできそうか?」
フェリスベルトの問いかけに、技師たちは笑顔だった。まもなく迎える夏至の祭。街の広場で製氷を実演してみせようと彼らは張り切っている。
晶化術という魔法は身近なものだが、その結果としての結晶もまた生活に役立てられていると周知したい。それは次代の晶術師を育てることにもつながるに違いなかった。
✻
「おかえりなさい、お父さま!」
実験の立ち合いで帰りが遅くなったフェリスベルトを迎えたのはエドゥアルドだけだった。リュティシアはもう自分の部屋に引き取っていて、会えなかったことをフェリスベルトはひそかに残念に思う。だがそんな気持ちは欠片も見せず、駆け寄るエドゥアルドの頭をなでた。
「ただいま。いい子にしていたかいエディ」
「うん!」
「今日は何をしていたのかな」
これはいつもの会話。息子がどう過ごしたかを知るのは父として大事なことだ。しかし最近は、リュティシアの様子を聞かせてもらえるのも楽しみになっている。エドゥアルドは目を輝かせて報告した。
「お母さまにキックをならったよ」
「……そうか」
フェリスベルトは笑いをこらえた。スカートの中を気にされたリュティシアは、ちゃんと男性のいない隙にエドゥアルドへ技を披露したらしい。
しかしそうとわかっていても製造する価値はある。病気療養などの限定的な使用とはなるが、夏期に氷があれば助かる場面も多いはず。フェリスベルトは、まず療術院への設置を目指して開発をバックアップしている。
「――このぶんなら夏至祭への展示はできそうか?」
フェリスベルトの問いかけに、技師たちは笑顔だった。まもなく迎える夏至の祭。街の広場で製氷を実演してみせようと彼らは張り切っている。
晶化術という魔法は身近なものだが、その結果としての結晶もまた生活に役立てられていると周知したい。それは次代の晶術師を育てることにもつながるに違いなかった。
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「おかえりなさい、お父さま!」
実験の立ち合いで帰りが遅くなったフェリスベルトを迎えたのはエドゥアルドだけだった。リュティシアはもう自分の部屋に引き取っていて、会えなかったことをフェリスベルトはひそかに残念に思う。だがそんな気持ちは欠片も見せず、駆け寄るエドゥアルドの頭をなでた。
「ただいま。いい子にしていたかいエディ」
「うん!」
「今日は何をしていたのかな」
これはいつもの会話。息子がどう過ごしたかを知るのは父として大事なことだ。しかし最近は、リュティシアの様子を聞かせてもらえるのも楽しみになっている。エドゥアルドは目を輝かせて報告した。
「お母さまにキックをならったよ」
「……そうか」
フェリスベルトは笑いをこらえた。スカートの中を気にされたリュティシアは、ちゃんと男性のいない隙にエドゥアルドへ技を披露したらしい。