拳にモノを言わせますけどよろしくて?
(格好いいと評してくれたのか、リュティ……ならば私のことを愛してくれるだろうか)

 フェリスベルトはそんな願いを噛みしめた。
 早く気持ちを告げてみればいいのに、その勇気は出ない。こう言ってはなんだが、リュティシアは心をぶつけなくとも手に入る状態の人だ。わざわざ気持ちのすれ違いを確認する結果になったらと思うと二の足を踏んでしまう。
 エドゥアルドに曖昧に微笑みかけ、フェリスベルトは私室に引っこんだ。

(私のどこが格好いいのだろう。母上からは面白みがないと言われたが)

 そう思うと落ち込んだ。茶目っ気たっぷりに振る舞うリュティシアからすれば、つまらない相手なのかもしれない。


  ✻ ✻ ✻


 女性に対して不器用な王弟フェリスベルト。しかしその甥である第二王子セミオンはそんなこともない。
 王子として憧れられる立場。まあまあ甘い容姿。それらをわかった上で、群がるご令嬢たちから好ましい女性を選ぶつもりで生きてきた。
 なのにリュティシアを外交的に押しつけられ、あげく失敗した。あの婚約破棄騒動は人生の汚点だと感じている。
 やはり自分の目で、ふさわしい相手を選びたい。そう考えたセミオンは、父王へ掛け合った。

「モンサント侯爵家のアデリア嬢ではいかがでしょうか、父上」
< 95 / 170 >

この作品をシェア

pagetop