拳にモノを言わせますけどよろしくて?
「ふむ……」

 国王は熟考した。
 王太子パルミロの婚約・成婚時にはモンサント家の長女が退けられている。その妹を弟王子に、というのは有力貴族の勢力均衡をはかるためには悪くない選択だ。
 それに多産の家系という売り込みは――実をいうと魅力的だった。

 国王夫妻には、男子二人しかいない。その下に生まれた子らは悲しいことに育たなかったのだ。
 王族の数が先細り気味なのは王権にとっての不安要素。それもあって〈育成〉の加護を持つというリュティシアを望んだのだが、王子ではなく王弟に嫁ぐことになってしまった。できれば国王の直系で王位を継いでいく方が揉めずに済むと思う。
 このまま王太子のところに子ができない可能性をかんがみればセミオンに期待するしかなかった。アデリアは控えめな性格のようだが健康そうだ。セミオンが好ましいと感じるなら夫婦仲も良くなろうし、それが最も重要ではあるまいか。

「――わかった。モンサント侯爵へ打診してみよう」
「よろしいのですか。ありがたき幸せ」
「なんだセミオン、そんなにあのアデリアが気に入ったか。楚々とした娘だったが……」
「ははは。まあなんというか……とても可愛らしく思えまして」

 セミオンは照れくさそうにする。
 ――そして考えていた。可もなく不可もないアデリアなど、妃にしてやれば口ごたえもするまい。アデリアとその実家のモンサント侯爵家を利用すれば、セミオンの子が王位をうかがうこともできるのではないだろうか。

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