Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
第2章 恋の予感ーブルームーンストーンー
朝の光がカーテンの隙間から静かに差し込み、その柔らかい明るさが部屋の空気をゆっくりと温めていた。
柚歩は目を開け、胸の奥にはまだ少しだけざわつきが残っていて、
布団の中で小さく息を吸い、昨日のことが何度も頭の中で再生されていくのを止められなかった。

美桜の言葉、
要の声、
そして、

「また……会えるといいですね」

あの人の微笑みが胸の奥をふいに締めつけ、思い出すだけで息が浅くなり、胸元のペンダントに触れると光は静かに沈んでいるのに、触れた指先だけが少しだけ熱く感じられた。

——どうして、こんなに気になるんだろう

名前も知らない。
どんな人なのかも知らない。
思い出すたびに胸の奥がじんわりと揺れ、息が少しだけ震えた。

柚歩はゆっくりと起き上がり、鏡の前に立ち、目の下に少しだけ赤みが残っているのを見ていた。
昨日泣きそうになったせいだと気づき、喉の奥がまた少しだけ詰まる。

「……」

声は出る。
普通に話せる。
けれど胸の奥がざわつくと喉が少しだけ固くなり、言葉が形になる前に震えてしまう。

柚歩は深呼吸をして髪を整え、今日も仕事がある。
いつも通りの一日が始まるはずなのに、心のどこかで昨日の余韻が静かに揺れ続けていて、
その揺れが胸の奥に小さな波のように広がっていった。

また会えるのかな。
会いたい……なんて思ってしまうのは、変だろうか。

胸の奥が熱くなり、その熱がゆっくりと広がっていく。

柚歩はバッグを肩にかけ、玄関の扉を開け、朝の空気が少し冷たくて、でもどこか優しくて、
その優しさが胸の奥の揺れと静かに重なっていくのを感じた。

——揺れは、もう始まっていた。
< 14 / 144 >

この作品をシェア

pagetop