Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
朝の空気は少し冷たくて、胸の奥の揺れを静かに落ち着かせてくれた。

久遠くんの告白が、
夜の間ずっと心のどこかで灯り続けていた。

影の中で生きてきた時間が、
ゆっくり終わりに向かっている気がした。

会社へ向かう道の途中、久遠くんが待っていた。

「……優海、おはよう」

その声は、昨日より少しだけ柔らかかった。

私は立ち止まり、久遠くんの顔を見た。

薄桃色の影は、もう揺れていなかった。

「久遠くん……昨日のこと、ちゃんと話したい」

自分でも驚くほど、
その声はまっすぐだった。

「……琉生君のこと、ずっと好きだった。
 でも、その気持ちを理由に、
 自分の幸せを選ばないのは違うって……昨日、気づいたの」

胸の奥が少しだけ軽くなった。

私はそっと手を伸ばし、
久遠くんの手に触れた。

昨日は久遠くんが触れた。
今日は——
私が触れた。

「……久遠くんと、未来を歩きたい」

その言葉は、影の恋を終わらせるための声だった。


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