Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
眠れぬまま朝を迎え、夜の底の痛みがまだ胸に沈んでいた。
目の奥が重く、世界の光がどれだけ差し込んでも心の奥は晴れなくて、体のどこかが冷えていた。
どこかが熱を帯びているのに、その温度差が胸の奥をひどく揺らし、呼吸が浅くなる。

その時——チャイムが鳴った。

「……柚歩。
 昨日……電話、出なかったから」

その声が震えていて、その震えが胸の奥に触れた瞬間、涙がこぼれそうになった。
扉が閉まる音が世界を切り離し、二人だけの空間が静かに閉じていく。

外の気配が完全に消え、部屋の空気がゆっくり沈んでいき、互いの呼吸だけがかすかに響き合う。
その沈黙は逃げるためのものじゃない。
互いの痛みが静かに触れ合うような沈黙だった。

琉生がゆっくり言う。

「……行きたくなんかない。本当は……ずっとここにいたい」

胸が痛み、喉が詰まり、声が出なかった。
でも、振り絞って声を出す。

「……でも 行くんでしょう……?」

その言葉は震えていて、自分の声じゃないみたいで、胸の奥がひどく締めつけられた。

「……柚歩の声に触れて、俺は自分の限界を知った。
 だから行く。でも……」

一歩近づく。
その一歩が胸の奥を強く揺らし、逃げられない。
互いの呼吸が触れ合うほど近くなり、胸の奥が熱くなる。

涙が滲み、視界が揺れた。

「……柚歩を置いていきたくない」

はっきりとした口調で琉生は言い切った。

その瞬間、胸の奥が崩れ、涙がこぼれ、呼吸が震え、言葉にならない声が喉の奥で揺れた。
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