Please let me hear your voice-君の声を聴かせてー
麻衣は小さく息を吐いた。

「歩くんはね……友香ちゃんを責めなかったの。最後まで。どれだけ苦しくても、あの子はただ、友香ちゃんの幸せを願ってた」

「だからこそ、渡せなかった指輪を……私に託したのよ」

柚歩は唇を噛んだ。
知らなかった母の痛みと、知らなかった父の優しさが、胸の奥で静かに重なっていく。

麻衣は、柚歩の方をまっすぐ見つめた。

「……柚歩ちゃん。
 あなたに話さなきゃいけなかったのは、ここからなの」

部屋の空気が、深く沈んだ。

その沈黙は、ただの区切りじゃない。
“真実の核心”が、今まさに開こうとしている沈黙だった。
< 66 / 144 >

この作品をシェア

pagetop