婚約破棄された夜に王太子と一夜を共にしてしまい、逃げ続けたら捕まりました
この二ヶ月、彼の姿を見ていない。
——いや、正確には『見えていた』のかもしれない。
王太子らしき気配を感じた瞬間、身体が勝手に逃げる指令を出す。
けれど臨月の身体は、その命令に従えない。
見つけたら終わる。だから、見つけないふりをした。

きっと彼は、私を探すことを諦めたのだろう。そう思い込もうとした。

愛する人にそっくりな、可愛い我が子を抱きながら、涙が溢れてくる。

大丈夫。この子がいたら。
あの最後の温もりを胸に、生きていける。

そう胸に刻みつけた瞬間、その懐かしい温もりに包まれる。
——逃げろ、と命じた身体が、今度は動かなかった。

「やっと捕まえた」
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