エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
エピローグ

エピローグ

 雨の匂いが鼻について、私は窓の外を見た。

 空は晴れているけれど、雲が多い。通り雨がもうすぐ降るかもしれない。朝から体が怠く感じたのも低気圧のせいかも。

 ロンドンに来て半年。頻繁に小雨が降るから、雨の匂いにはかなり敏感になった。

「もう半年かぁ」

 長かったようで、短かったような。

 千穂との騒動があって、滉太郎さんのお父さんからの誤解はすぐに解けた。ひどいことを言ったと謝罪も受けたものの、それとこれとは別で私と滉太郎さんが結婚することには依然として反対だった。

 優秀な滉太郎さんに自分の政治地盤を継がせたいと考えていて、政治活動の後ろ盾となるような名家のお嬢さん――さくらさんと結婚させたいのだと言っていた。

 そんなお父さんに滉太郎さんは猛反発。そもそも政治家になるつもりはないと断言し、養子縁組を解消する話にまで発展しそうになったところを、滉太郎さんのお母さんが仲裁に入ってくれた。

『結婚は好きな人とするのが一番』

 そう言って、私との結婚も応援してくれた。

 滉太郎さんのお父さんはお母さんにめっぽう弱いらしく、最終的にはお父さんも納得してくれた。

 婚姻届を出してすぐ滉太郎さんは渡英した。私はビザの発行や退職手続きが必要で、一緒について行くのは難しかった。

 渡英タイミングをいつにするか考えていた頃、私の父の外科手術も決まった。治療が功を奏して腫瘍が小さくなったおかげで、切除ができるようになったのだ。がん細胞を取りきることができれば、生存率は確実に上がる。その知らせを聞いた時、亮介と抱き合って喜んだ。

 その手術の成功を見届けてから、私もイギリスへ旅立った。
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