エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
年末年始は帰国する予定で、親族だけでささやかな結婚式を挙げるつもり。父はすごく楽しみにしていて、それまでに体力をつけると毎日散歩していると亮介から聞いた。
千穂とは、あの騒動以来一度も会っていない。
千穂は私に勧めたお酒に睡眠薬を盛って、ヤクザがとりしきる人身売買組織に私を売ろうとしたらしい。警察官から『被害届を出してください』と言われて、最初はためらいを覚えた。
千穂が私を陥れようとしたことは許せない。ずっと嫌いだったと言われたこともショックだった。それでも十年以上友人として付き合ってきたのだ。自分の手で彼女を罪人にするのは戸惑った。
迷っていた私に寄り添ってくれたのは滉太郎さんだった。
『道を誤っていることを教えてやるのも優しさなんじゃないか』
その言葉で私は被害届を出すことに決めた。
裁判の内容は、滉太郎さんの勧めで代理人に任せたから詳しくは知らないが、実刑判決を受けてどこかの刑務所に収監されたと聞いている。
この前、滉太郎さんからこんな話を聞いた。
『あの事件で逮捕したヤクザの供述から、日本の暴力団とつながりがある現地の人身売買組織がわかったんだ。仁奈が被害届を出したおかげで詳しい捜査ができているから感謝してるって言ってた』
滉太郎さんの同期の外交官が東南アジアを担当していて、組織の捜査に関わっているらしい。あの時被害届を出して本当に良かったのかと思い返すこともあったけれど、困っている誰かを救えているなら良かったのかもしれないと思えた。
千穂とは今後も会うことはないだろう。でも刑期を終えたあとは穏やかに暮らしてほしい。元友人としてそう思う。
千穂とは、あの騒動以来一度も会っていない。
千穂は私に勧めたお酒に睡眠薬を盛って、ヤクザがとりしきる人身売買組織に私を売ろうとしたらしい。警察官から『被害届を出してください』と言われて、最初はためらいを覚えた。
千穂が私を陥れようとしたことは許せない。ずっと嫌いだったと言われたこともショックだった。それでも十年以上友人として付き合ってきたのだ。自分の手で彼女を罪人にするのは戸惑った。
迷っていた私に寄り添ってくれたのは滉太郎さんだった。
『道を誤っていることを教えてやるのも優しさなんじゃないか』
その言葉で私は被害届を出すことに決めた。
裁判の内容は、滉太郎さんの勧めで代理人に任せたから詳しくは知らないが、実刑判決を受けてどこかの刑務所に収監されたと聞いている。
この前、滉太郎さんからこんな話を聞いた。
『あの事件で逮捕したヤクザの供述から、日本の暴力団とつながりがある現地の人身売買組織がわかったんだ。仁奈が被害届を出したおかげで詳しい捜査ができているから感謝してるって言ってた』
滉太郎さんの同期の外交官が東南アジアを担当していて、組織の捜査に関わっているらしい。あの時被害届を出して本当に良かったのかと思い返すこともあったけれど、困っている誰かを救えているなら良かったのかもしれないと思えた。
千穂とは今後も会うことはないだろう。でも刑期を終えたあとは穏やかに暮らしてほしい。元友人としてそう思う。