エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
玄関から滉太郎さんが帰ってくる音が聞こえて、私はハッとした。
今日の夜は日本大使館で開かれるレセプションに参加予定だから、準備のために帰りが早いのだ。
なのに私はなにも準備できていない。まだ体が怠くて動くのが億劫だったとはいえ、少しのんびりしすぎた。
慌てて立ち上がると、軽くめまいを覚えた。体もだるいし、風邪なのかな。幸い熱はなさそうだ。
額に手を当てていると、滉太郎さんが「ただいま」とリビングに入ってきた。腕にはオレンジの薔薇の花束。
「アリスから手紙が届いてたよ」
手渡されたピンクのかわいらしい封筒に顔がほころぶ。ロンドンに引っ越してきたことを滉太郎さんがペンブリッジ子爵に報告したところ、こうして毎月手紙をくれるのだ。すっかりお姉さんになったようで、字がとても綺麗だ。
「ありがとうございます。そのお花、どうしたんですか?」
「今日で結婚して十ヶ月だろ? そのお祝い」
そう言われてカレンダーを見る。たしかにそうだった。
「もしかして忘れてた?」
「実は」
正直に白状すると、滉太郎さんはクスリと笑って花束をカウンターに置き、ギュッと私を抱きしめた。いってきますとただいまのハグは今も続行中だ。
「今日の夜はお仕置きだな」
「ま、まるっきり忘れてたってわけじゃないですよ? ただ今夜はレセプションがあるから、そのことの方が頭にあって」
「冗談だよ。はい、これ」
私を抱きしめる腕を解いて、滉太郎さんが花束を手渡す。瑞々しくて綺麗。でもぶわっと薔薇の香りが押し寄せて、吐き気が込み上げた。思わず口を手で押さえる。
「どうした、具合が悪いのか?」
今日の夜は日本大使館で開かれるレセプションに参加予定だから、準備のために帰りが早いのだ。
なのに私はなにも準備できていない。まだ体が怠くて動くのが億劫だったとはいえ、少しのんびりしすぎた。
慌てて立ち上がると、軽くめまいを覚えた。体もだるいし、風邪なのかな。幸い熱はなさそうだ。
額に手を当てていると、滉太郎さんが「ただいま」とリビングに入ってきた。腕にはオレンジの薔薇の花束。
「アリスから手紙が届いてたよ」
手渡されたピンクのかわいらしい封筒に顔がほころぶ。ロンドンに引っ越してきたことを滉太郎さんがペンブリッジ子爵に報告したところ、こうして毎月手紙をくれるのだ。すっかりお姉さんになったようで、字がとても綺麗だ。
「ありがとうございます。そのお花、どうしたんですか?」
「今日で結婚して十ヶ月だろ? そのお祝い」
そう言われてカレンダーを見る。たしかにそうだった。
「もしかして忘れてた?」
「実は」
正直に白状すると、滉太郎さんはクスリと笑って花束をカウンターに置き、ギュッと私を抱きしめた。いってきますとただいまのハグは今も続行中だ。
「今日の夜はお仕置きだな」
「ま、まるっきり忘れてたってわけじゃないですよ? ただ今夜はレセプションがあるから、そのことの方が頭にあって」
「冗談だよ。はい、これ」
私を抱きしめる腕を解いて、滉太郎さんが花束を手渡す。瑞々しくて綺麗。でもぶわっと薔薇の香りが押し寄せて、吐き気が込み上げた。思わず口を手で押さえる。
「どうした、具合が悪いのか?」