エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
「ああ、義理だけどね。うちは再婚家庭で、俺は母親の連れ子だから血の繋がりはないんだ。それに再婚したのも俺が家を出てからだから、そこまで親しくない」
「そうなんですね。義理の……」
うんざりしたように首を振る黒崎さんからは、これ以上何も聞くなという空気が伝わってくる。
身内に有名人がいると、色々詮索されて大変なんだろう。それに「そこまで親しくない」とはっきり言うあたり、義理のお父さんとの距離を感じた。
でもその気持ちはわかる気がした。
もしお父さんが再婚したら……何度か想像したことはある。きっと、結婚することに対してはちゃんと祝福できると思う。でも自分の新しい母親として受け入れられるか。それはあまり自信がない。
私にとって、家族は父と弟、それに亡くなった母だけ。辞書のように、私の中ではっきりと定義づけられている。
家族が欠けるのは、大きな喪失だ。抜け落ちた母という大きなピースは今でも埋められていない。
ダイニングテーブルの誰も座ることのない席を見て、お母さんの席だったなと思うことは今もある。ふとした瞬間に、喪った悲しみが私の隣にそっと腰を下ろす。
抜け落ちたピースは埋まらない。他のピースがそのスペースに収まることもない。
「がっかりしたか?」
「えっ?」
唐突に尋ねられ、物思いにふけっていた私は呆けた。
「どういう意味ですか?」
「義理とはいえ父親が黒崎純一って知ると、色々期待する人間が多いからさ」
冷めた目をしながら黒崎さんが口角だけを上げて笑う。でも、彼の言葉がいまいちピンとこない。
「色々?」
「仕事で便宜を図ってもらおうとしたり、金を巻き上げようとしたり、な。国会議員なら世の中なんでも思いのままだと思ってる人間は多いんだよ。俺が実の息子じゃないってわかると、大体の奴は期待はずれって顔をする」
「そうなんですね。義理の……」
うんざりしたように首を振る黒崎さんからは、これ以上何も聞くなという空気が伝わってくる。
身内に有名人がいると、色々詮索されて大変なんだろう。それに「そこまで親しくない」とはっきり言うあたり、義理のお父さんとの距離を感じた。
でもその気持ちはわかる気がした。
もしお父さんが再婚したら……何度か想像したことはある。きっと、結婚することに対してはちゃんと祝福できると思う。でも自分の新しい母親として受け入れられるか。それはあまり自信がない。
私にとって、家族は父と弟、それに亡くなった母だけ。辞書のように、私の中ではっきりと定義づけられている。
家族が欠けるのは、大きな喪失だ。抜け落ちた母という大きなピースは今でも埋められていない。
ダイニングテーブルの誰も座ることのない席を見て、お母さんの席だったなと思うことは今もある。ふとした瞬間に、喪った悲しみが私の隣にそっと腰を下ろす。
抜け落ちたピースは埋まらない。他のピースがそのスペースに収まることもない。
「がっかりしたか?」
「えっ?」
唐突に尋ねられ、物思いにふけっていた私は呆けた。
「どういう意味ですか?」
「義理とはいえ父親が黒崎純一って知ると、色々期待する人間が多いからさ」
冷めた目をしながら黒崎さんが口角だけを上げて笑う。でも、彼の言葉がいまいちピンとこない。
「色々?」
「仕事で便宜を図ってもらおうとしたり、金を巻き上げようとしたり、な。国会議員なら世の中なんでも思いのままだと思ってる人間は多いんだよ。俺が実の息子じゃないってわかると、大体の奴は期待はずれって顔をする」