エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
「まさかあの旅行でそんなことがあったなんてねぇ」
生ハムのピンチョスを食べながら、千穂が相槌を打つ。
「その、黒崎さんの写真ってないの?」
「一枚だけ撮ったかな」
パーティーの日、アリスと一緒に記念写真を一枚だけ撮った。それを見せると、千穂は目を大きく見開いた。
「すごいイケメンじゃん。こんな人がわざわざ偽装結婚なんてするの? 相手ならいくらでもいそうなのに」
「うん。よりどりみどりだから、かえって苦労も多いみたい。パーティーで言い寄られないために、パートナーが欲しかったんだって」
「それで偶然会った仁奈を女避けに指名したってことね。いいなぁ、仁奈は。こんなイケメンと一緒に住めて。私も旅行に行ってたら、私が黒崎さんの偽装結婚の相手だったのかなぁ」
千穂の言葉になぜか胸が痛んだ。
「私なんてさ、春樹に浮気されてからなんにもいいことない。本当、羨ましいよ。代わってほしいくらい」
なんと返事をしていいかわからなかった。
ごめんね、と謝るのは違う。大変だったね? でも羨ましいと言われた私からそう言うと、うわべだけに聞こえてしまう気がした。
「ずるいよね、仁奈は」
私はただ、千穂の言葉を受け止めることしかできなかった。
生ハムのピンチョスを食べながら、千穂が相槌を打つ。
「その、黒崎さんの写真ってないの?」
「一枚だけ撮ったかな」
パーティーの日、アリスと一緒に記念写真を一枚だけ撮った。それを見せると、千穂は目を大きく見開いた。
「すごいイケメンじゃん。こんな人がわざわざ偽装結婚なんてするの? 相手ならいくらでもいそうなのに」
「うん。よりどりみどりだから、かえって苦労も多いみたい。パーティーで言い寄られないために、パートナーが欲しかったんだって」
「それで偶然会った仁奈を女避けに指名したってことね。いいなぁ、仁奈は。こんなイケメンと一緒に住めて。私も旅行に行ってたら、私が黒崎さんの偽装結婚の相手だったのかなぁ」
千穂の言葉になぜか胸が痛んだ。
「私なんてさ、春樹に浮気されてからなんにもいいことない。本当、羨ましいよ。代わってほしいくらい」
なんと返事をしていいかわからなかった。
ごめんね、と謝るのは違う。大変だったね? でも羨ましいと言われた私からそう言うと、うわべだけに聞こえてしまう気がした。
「ずるいよね、仁奈は」
私はただ、千穂の言葉を受け止めることしかできなかった。