エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
 迎えた週末。

 寝不足の影響なのか朝から頭痛がして、風邪かもしれないからお見舞いはやめることにした。

 代わりに朝から実家に帰ろうと思って、滉太郎さんと一緒に朝ごはんを食べている時に今日の予定を告げた。

「今日は実家に行ってきます。夕食も食べて帰るので遅くなると思うんですが、滉太郎さんのお夕飯はよかったら作っていきましょうか?」

 気恥ずかしくてまともに目も見れない。朝食を食べるという動作のおかげで、かろうじて普通に振舞えている。

「それは大丈夫だけど、朝から行くのか?」

「は、はい。片付けとか掃除とかもしようと思っているので」

 滉太郎さんの声を聞くだけで鼓動が速くなる。気を紛らわすように卵焼きを頬張る。

「なら、俺もついていっていいか?」

「へ?」

 私は目をパチクリさせた。

「夫婦揃って行った方が、君の弟へのいいアピールになるだろ」

「そ、それは、そうかもしれないですけど。でも今うちの実家かなり散らかってるみたいなので、滉太郎さんに来ていただくわけには」

「なら俺も掃除を手伝うよ。片付けも得意だし」

 とんでもないことになってしまった。まさかの展開に心中穏やかじゃないまま、出かける時間になった。

 頭は依然としてズキズキと痛む。こっそり頭痛薬を飲んでから玄関へ向かうと、すでに準備を終えていた滉太郎さんはいつもの伊達メガネとマスクはしていなかった。

「滉太郎さん、メガネはいいんですか?」

 かっこよすぎるあまり、外出先で頻繁に声をかけられるから煩わしくて顔を隠していると言っていたのに、今日の滉太郎さんは髪を整えて、イケメンぶりがあらわになっている。清潔感のあるシャツと細身のテーパードパンツが似合っていて、爽やかで目に毒なくらいかっこいい。

「仁奈と出かけるならちゃんとした格好をしないとだろ」

 私と出かける時こそラフな格好で問題ないと思うけど、どういう意味なんだろう。

 ドギマギしながら家を出ると、滉太郎さんが当たり前のように私の手を握った。

「こ、滉太郎さん?」

「なに?」
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