エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
実家の団地に到着して、出迎えてくれた亮介は、滉太郎さんの姿を見て目を丸くしていた。
「黒崎さん? なんで……?」
「平日はなかなか仁奈との時間が取れないから、なるべく一緒にいるようにしてるんだ。亮介くんともまだゆっくり話せていなかったしね」
良き夫の演技をしている滉太郎さんに肩を引き寄せられる。ドキッとしてよろけてしまったけれど、滉太郎さんは難なく支えてくれた。
実家は、思っていたよりもきれいに整頓されていた。
けどリビングの横にある和室の襖が少し開いていて、中を覗くとお父さんのベッドの上に洗濯物が山盛りに積み重なっていた。参考書も床に散らばっている。余裕がない中でなんとかここに押し込んだんだろう。後で整理してあげなきゃと苦笑して、襖をそっと閉じる。
お父さんに挨拶に来てもらった時と同じように滉太郎さんにはダイニングの椅子に座ってもらった。勝手知ったる我が家なので、亮介にも座るよう促し、キッチンにコーヒーを淹れに行く。
ドリップコーヒーのパックを開けている時、また頭が痛み出した。頭痛薬が切れたんだろう。倦怠感もあるし、ひょっとすると風邪かもしれない。
お父さんのお見舞いに行かなくて本当によかった。治療中は免疫が下がっていると聞いたから、風邪を移したら重症化してしまう。
「あの、黒崎さん。父さんの治療費を出してくださってありがとうございました。直接お礼を言うのが遅くなってすみません」
背後から亮介の声が聞こえた。
「当然のことをしたまでだ。仁奈の大切な家族は、俺にとっても大切な存在だからね」
「……でもなんで姉なんですか? 黒崎さんくらいかっこよくて、仕事もしっかりしてる人なら、他にいくらでも相手がいますよね?」
「亮介。失礼なことを言わないで」
コーヒーを淹れてる最中だけど、振り返って亮介を咎めた。瞬間頭が突き刺すように痛んで顔をしかめる。
キッチンに背を向けて座っている滉太郎さんの表情は見えないけれど、彼は首を横に振った。
「黒崎さん? なんで……?」
「平日はなかなか仁奈との時間が取れないから、なるべく一緒にいるようにしてるんだ。亮介くんともまだゆっくり話せていなかったしね」
良き夫の演技をしている滉太郎さんに肩を引き寄せられる。ドキッとしてよろけてしまったけれど、滉太郎さんは難なく支えてくれた。
実家は、思っていたよりもきれいに整頓されていた。
けどリビングの横にある和室の襖が少し開いていて、中を覗くとお父さんのベッドの上に洗濯物が山盛りに積み重なっていた。参考書も床に散らばっている。余裕がない中でなんとかここに押し込んだんだろう。後で整理してあげなきゃと苦笑して、襖をそっと閉じる。
お父さんに挨拶に来てもらった時と同じように滉太郎さんにはダイニングの椅子に座ってもらった。勝手知ったる我が家なので、亮介にも座るよう促し、キッチンにコーヒーを淹れに行く。
ドリップコーヒーのパックを開けている時、また頭が痛み出した。頭痛薬が切れたんだろう。倦怠感もあるし、ひょっとすると風邪かもしれない。
お父さんのお見舞いに行かなくて本当によかった。治療中は免疫が下がっていると聞いたから、風邪を移したら重症化してしまう。
「あの、黒崎さん。父さんの治療費を出してくださってありがとうございました。直接お礼を言うのが遅くなってすみません」
背後から亮介の声が聞こえた。
「当然のことをしたまでだ。仁奈の大切な家族は、俺にとっても大切な存在だからね」
「……でもなんで姉なんですか? 黒崎さんくらいかっこよくて、仕事もしっかりしてる人なら、他にいくらでも相手がいますよね?」
「亮介。失礼なことを言わないで」
コーヒーを淹れてる最中だけど、振り返って亮介を咎めた。瞬間頭が突き刺すように痛んで顔をしかめる。
キッチンに背を向けて座っている滉太郎さんの表情は見えないけれど、彼は首を横に振った。