エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
電車を乗っている間に気持ちを落ち着けて、区役所の庁舎に着く頃には仕事用の真面目な顔をつくれるようになった。
私が属しているのは文化交流課。区内で国際交流や文化振興を目的としたイベントを主催したり、外国の姉妹都市との連携や調整している。最近は、二週間後に区民ホールで二胡のコンサートを開催予定なので、その準備でバタバタしている。
出勤してすぐメールを確認すると、出演予定の演奏者から当日の控え室について問い合わせがきていた。資料室に区民ホールの資料もあったはず。
資料室から区民ホールに関するファイルを持ち出して自分の席に戻ると、戸籍住民課の後輩が私のデスクのそばに立っていた。
「お疲れ様、どうしたの?」
「お疲れ様です、野々村さん。すみません、今お時間ってありますか?」
「会議はないけど……」
首を傾げると、後輩は困ったような顔をして首の後ろを掻いた。
「じゃあ一緒に来ていただいてもいいですか? 仁奈さんに用事があるという方が窓口に来ていて」
「えっ?」
「衆議院議員の黒崎純一さんの秘書って言ってたんですけど」
思わずハッと息を呑んだ。
来ているのは代理の方だけど、黒崎議員――滉太郎さんのお父様が私に用があるということだ。
たぶん、滉太郎さんとの結婚のことだよね。
「黒崎純一って、テレビでもよく出てるあの黒崎純一ですよね。仁奈さん、知り合いだったんですか?」
「た、たまたま、仕事の繋がりでお会いして、それでかな?」
苦しい言い訳だけど、本当のことは言えなかった。
私が属しているのは文化交流課。区内で国際交流や文化振興を目的としたイベントを主催したり、外国の姉妹都市との連携や調整している。最近は、二週間後に区民ホールで二胡のコンサートを開催予定なので、その準備でバタバタしている。
出勤してすぐメールを確認すると、出演予定の演奏者から当日の控え室について問い合わせがきていた。資料室に区民ホールの資料もあったはず。
資料室から区民ホールに関するファイルを持ち出して自分の席に戻ると、戸籍住民課の後輩が私のデスクのそばに立っていた。
「お疲れ様、どうしたの?」
「お疲れ様です、野々村さん。すみません、今お時間ってありますか?」
「会議はないけど……」
首を傾げると、後輩は困ったような顔をして首の後ろを掻いた。
「じゃあ一緒に来ていただいてもいいですか? 仁奈さんに用事があるという方が窓口に来ていて」
「えっ?」
「衆議院議員の黒崎純一さんの秘書って言ってたんですけど」
思わずハッと息を呑んだ。
来ているのは代理の方だけど、黒崎議員――滉太郎さんのお父様が私に用があるということだ。
たぶん、滉太郎さんとの結婚のことだよね。
「黒崎純一って、テレビでもよく出てるあの黒崎純一ですよね。仁奈さん、知り合いだったんですか?」
「た、たまたま、仕事の繋がりでお会いして、それでかな?」
苦しい言い訳だけど、本当のことは言えなかった。