エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
本当に結婚したわけじゃないから、職場では滉太郎さんとのことは話していない。これからも話すことはないと思う。一年半後には、私と滉太郎さんの繋がりはなくなっているのだから。
「呼びに来てくれてありがとう。でも、このこと、誰にも言わないでね」
好奇心に満ちた後輩にそう頼み込むと、私は住民課の窓口がある一階に降りた。
窓口の脇には個室の相談室がふたつあり、代理人の方が案内されているのは一番相談室らしい。ドキドキしながら相談室のドアを開ける。
中にはスーツをきっちり着込んだ男性が朗らかな笑顔を浮かべて座っていた。笑顔なのに、どこか威圧感がある。周囲の空気にピリッと緊張が走ったような気がした。
「突然お伺いして申し訳ございません、野々村仁奈さん。わたくしはこういう者でございます」
「あ、ありがとうございます」
差し出された名刺には『衆議院議員 黒崎純一秘書 金子』と書かれていた。
でも私の意識は名刺には向いていなかった。
野々村。私のことを、目の前の彼はそう呼んだ。偽装結婚だから籍は入れていないものの、互いの両親には結婚したと伝えているのにも関わらず。
どうやら滉太郎さんのお父さんは、私が滉太郎さんの結婚相手だと認めていないらしい。背中から汗がじんわりと滲み出る。
「あの、どうして職場に……?」
「正攻法で連絡をしても、逃げられる可能性もありますから。お仕事の最中なら、確実にいらっしゃるでしょう?」
「呼びに来てくれてありがとう。でも、このこと、誰にも言わないでね」
好奇心に満ちた後輩にそう頼み込むと、私は住民課の窓口がある一階に降りた。
窓口の脇には個室の相談室がふたつあり、代理人の方が案内されているのは一番相談室らしい。ドキドキしながら相談室のドアを開ける。
中にはスーツをきっちり着込んだ男性が朗らかな笑顔を浮かべて座っていた。笑顔なのに、どこか威圧感がある。周囲の空気にピリッと緊張が走ったような気がした。
「突然お伺いして申し訳ございません、野々村仁奈さん。わたくしはこういう者でございます」
「あ、ありがとうございます」
差し出された名刺には『衆議院議員 黒崎純一秘書 金子』と書かれていた。
でも私の意識は名刺には向いていなかった。
野々村。私のことを、目の前の彼はそう呼んだ。偽装結婚だから籍は入れていないものの、互いの両親には結婚したと伝えているのにも関わらず。
どうやら滉太郎さんのお父さんは、私が滉太郎さんの結婚相手だと認めていないらしい。背中から汗がじんわりと滲み出る。
「あの、どうして職場に……?」
「正攻法で連絡をしても、逃げられる可能性もありますから。お仕事の最中なら、確実にいらっしゃるでしょう?」