エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
 金子さんの厳しい言葉が頭の中をグルグルして、その日の仕事は全然集中できなかった。

 帰ってからも夜ご飯のハンバーグを焦がしてしまうし、もう最悪。煮込みハンバーグに方向転換してみたけど、味見をするとソースの奥に焦げた味がした。ごまかそうとしても、どうにもならない。

「はぁ……」

 意味もないのにおたまで鍋の中身をかき混ぜていると、ため息が漏れる。

 考えるのは滉太郎さんのことばかり。

 元々親から結婚を勧められてうんざりしていると言って、滉太郎さんは私に偽装結婚を提案してきた。

 その滉太郎さんが父親にこの結婚が偽装であると自ら暴露したということは、彼の気が変わったんだろう。私と偽装結婚を続けるメリットがないと判断したのかもしれない。

「私が、甘えすぎていたから……」

 お父さんの病気を治したい一心で彼の優しさに縋ってしまったけれど、きっとそれが良くなかった。そのせいで滉太郎さんはこの共同生活に嫌気が差したんだろう。せっかく私と一緒にいるのは居心地が良いと言ってくれていたのに。
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