エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
「……そうなの?」

「そうだよ。慌ててすぐに謝ってくれて、仲直りのハグで許してあげたの」

 肩をすくめておどけて話すと、アリスはクスクスと笑ってくれた。

「私、パパとママにちゃんとお話したい。ごめんねって、ちゃんと謝ってもらいたい」

「うん、そうしよう。アリスのお父さんとお母さん、アリスがいなくなって心配してると思う」

 アリスにも納得してもらい、総合案内へ向かった。受付の女性に事情を話すとなにやら内線電話で話し始め、十分もしないうちにアリスの両親と思しき男女が血相を変えた様子でこちらに駆け寄ってきて、アリスを抱きしめた。

「アリス、心配したのよ! 無事でよかった!」

「私のかわいいアリス! 見つかって本当によかった! いなくなって、生きた心地がしなかったよ」

「ママ、パパ……」

 アリスの声が震えている。無事に再会できた彼らの姿を見ていると、私の涙腺まで刺激された。

 アリスの両親からお礼がしたいと強く申し出を受けたけれど、私はただアリスを見つけただけなので遠慮しておいた。

 アリスに「またね」と手を振って別れた後、時計を見ると搭乗時間までのこり十分を切っていた。搭乗ゲートは端から二番目で、総合受付からは距離がある。

 間に合わない! 私は全速力で搭乗ゲートまで向かった。

 高校の体育祭の全員リレーぶりに全力疾走をしたおかげで、搭乗時間にはなんとか間に合った。搭乗口ではビジネスクラスの乗客が優先搭乗で乗り込んでいるところだった。

 ギリギリセーフ。でも思いきり走ったせいで頭がクラクラする。乱れた息を整えるために何度も深呼吸をした。
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