エリート外交官の完璧なる偽装結婚 ……のはずが旦那様は私を溺愛しているみたいです?!
「疲れてるんじゃない?」
「そうだよね」
私も笑って返す。気のせいだと言われると自分でもそう思えて、不安が薄れた。
千穂が行きたい店があるというので、私はついて行った。
夜の新宿はネオンが眩しい。通り沿いにはホストクラブの大きな看板がずらりと並んでいて、歩いている人の格好もオフィスカジュアルの私と千穂はこの場で浮いているような気がしてならない。
「千穂、お店ってどのあたり?」
「着いた。ここだよ」
立ち並ぶ雑居ビルの一角で千穂が立ち止まった。
地下へ降りる階段、その横に男性がドアップで写った看板がかかっている。ギラギラした文字で『一億の男 指名NO.1』と添えてある。ホストクラブだ。
「ここなの?」
千穂が間違えているんじゃ。そう思って尋ねたけれど、千穂は笑顔で首を横に振り、私の手を引いた。
「そうだよ。最近の行きつけなの。みんなかっこいいんだよ」
ネオンを受けて、千穂の瞳がキラキラと輝いている。中学校から同級生で、もう十四年の付き合い。幼なじみがまったく知らない人に見えた。
「そう、なんだ。でもごめん、私は行けない」
「なんで?」
「だって……結婚してるから」
「結婚って言っても偽装じゃない」
千穂が鼻で笑った。最初は確かにそうだった。でも今は。
「……滉太郎さんと話し合って、本当に結婚することにしたの。言えてなくてごめん」
咄嗟に謝ってしまったのは後ろめたかったから。
お互いの気持ちを確かめ合ったのは、先週の週末。一番の親友に報告する時間はたっぷりあった。でも千穂が春樹さんと別れたことを考えると、わざわざ連絡するのもどうかと思って言えなかった。
「そうだよね」
私も笑って返す。気のせいだと言われると自分でもそう思えて、不安が薄れた。
千穂が行きたい店があるというので、私はついて行った。
夜の新宿はネオンが眩しい。通り沿いにはホストクラブの大きな看板がずらりと並んでいて、歩いている人の格好もオフィスカジュアルの私と千穂はこの場で浮いているような気がしてならない。
「千穂、お店ってどのあたり?」
「着いた。ここだよ」
立ち並ぶ雑居ビルの一角で千穂が立ち止まった。
地下へ降りる階段、その横に男性がドアップで写った看板がかかっている。ギラギラした文字で『一億の男 指名NO.1』と添えてある。ホストクラブだ。
「ここなの?」
千穂が間違えているんじゃ。そう思って尋ねたけれど、千穂は笑顔で首を横に振り、私の手を引いた。
「そうだよ。最近の行きつけなの。みんなかっこいいんだよ」
ネオンを受けて、千穂の瞳がキラキラと輝いている。中学校から同級生で、もう十四年の付き合い。幼なじみがまったく知らない人に見えた。
「そう、なんだ。でもごめん、私は行けない」
「なんで?」
「だって……結婚してるから」
「結婚って言っても偽装じゃない」
千穂が鼻で笑った。最初は確かにそうだった。でも今は。
「……滉太郎さんと話し合って、本当に結婚することにしたの。言えてなくてごめん」
咄嗟に謝ってしまったのは後ろめたかったから。
お互いの気持ちを確かめ合ったのは、先週の週末。一番の親友に報告する時間はたっぷりあった。でも千穂が春樹さんと別れたことを考えると、わざわざ連絡するのもどうかと思って言えなかった。