工場の闇に咲く恋 ~レンズが捉えた秘密~
二人は車に乗り込み、ラブホテルへと向かった。
到着すると、並んだ部屋の中から二人で気に入った一室を選び、扉を閉めた瞬間、愛斗はふみを抱き寄せ、深く口づける。そのままベッドへと導き、体も心も重ね合わせ、先ほど買い揃えた大人のおもちゃも使いながら、二人は思う存分お互いを求め合い、ただただ快楽に溺れた。
一度限りでは終わらない。息を整える間も惜しむように再び求め合い、何度も肌を重ね、ようやく落ち着いたときには、ふみは愛斗の腕の中にすっぽりと収まり、心地よい疲れに身を任せていた。
「……貞夫さんが、まさかあそこまでやるとはな」
愛斗がポツリと呟く。自分があれほど怒りを感じていたとはいえ、幸輝の大事な部分を切断するまで行動するとは、想像もしていなかった。
「本気で、俺たちのこと守ってくれてたんだな……」
ふみも静かに頷き、愛斗の胸元にそっと頬を寄せる。
「私もびっくりしちゃった。パパがあんなに怖い顔になるまで怒るなんて……今まで見たことなかったから」
「当たり前だろ」
愛斗はふみの髪を優しくかきあげながら、続けた。
「ふみがあんなひどい目に遭わされたんだ。俺だって、あいつを殺してやりたいくらい、腹が立って仕方なかったんだから」
ふみは慌てて指を立て、愛斗の唇にそっと押し当てた。
「もう、あの人の話はやめよう? どうなったって、全部あの人が悪いんだし、自業自得だよ。私たちにはもう、全然関係ないんだから」
そして甘えるように体を擦り寄せる。
「……それに、せっかくの二人だけの時間なんだから。今日は私のことだけ考えて、ずっと一緒にいてよね」
「……そうだな。俺が悪かった」
愛斗は苦笑いして、ふみをぎゅっと抱きしめ直す。
「あいつがどうなろうと、勝手にすればいい。今は俺たちだけの時間を、ゆっくり楽しもう」
「うん……」
ふみは嬉しそうに笑ったが、すぐにまた眉を寄せる。
「でも……あいつ、最後まで変なことばっかり言ってて。本当に気持ち悪かった」
「わかってる。だからもう思い出すな」
愛斗がくすりと笑って、彼女の額にキスを落とす。
「さっき『話をやめる』って言い出したのは、誰だったかな?」
「……むかついてたから、ついね」
ふみは少しだけ頬を膨らませて拗ねる。そんな彼女が愛おしくて、愛斗は何度も柔らかく口づけを交わした。
名残惜しいけれど、そろそろ帰らなければ。二人はゆっくりと身支度を整え、ホテルの部屋を後にした。
それから家へと戻り、貞夫の前に立った愛斗は、真っ直ぐに父親の目を見て、自分の行動の意味を伝えた。
「お父さんにも、心配かけてるのはわかってます。でも……あの男、何度注意しても全然聞かないし、ふみが嫌がってるのに無理やりキスしたり、ずっと性的な目で体を舐めるように見てきたり……もう、我慢の限界だったんです」
愛斗は言葉を区切り、自分の決意を込めて続ける。
「俺がふみの彼氏で、誰よりも彼女の近くにいて、体も心も全部、お互い繋がってる——それを、あいつに思い知らせるには、もう行動で見せるしかなかったんです。
恋人同士なら、いつかそういう関係になるのは当たり前のことだけど……今回は、ふみを守るために、俺の覚悟を見せる意味もあったんです」
貞夫は黙って愛斗の言葉を聞いていたが、やがて大きく頷き、表情を緩めた。
「そっかぁ。それなら別に、いいんだよ」
そして少しだけ目を細め、続けた。
「俺があそこまでやったのはな……あいつ、ずっと『愛斗が死ねばいい』『ふみちゃんは俺のものだ』『ふみは愛斗に騙されてるんだ』って、馬鹿なことばっかり喚いてたからだ。それがどうしても腹立ってな……だから、ああやって制裁してやったんだ」
愛斗は胸のつかえが取れるような思いで、深く頭を下げた。
「パパ……ありがとう。俺たちのこと、守ってくれて」
「当然だろ」
貞夫は笑いながら、二人の肩をぽんと叩いた。
「お前たちが幸せになることが、一番の答えなんだからな」
「ありがとう」
「早く孫の顔みせろよ」
「うん」
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