工場の闇に咲く恋 ~レンズが捉えた秘密~
「うん、愛斗くんを守るためなら、私なんだってするからね」
「ありがとう、ふみ」
柔らかく笑い合ったあと、二人はそっと唇を重ね、部屋へと入った。愛斗はふみをしっかりと抱きしめ、安心しきった表情で眠りについた。
翌朝、二人は揃って目を覚まし、それぞれの職場へと向かう。仕事では写真撮影の業務をこなし、一日を無事に終えると、帰り道にあるコンビニへ立ち寄った。
商品を選んでいると、メイド服のコスプレをしたカップルとすれ違った。ふみが興味深そうに視線を送り、それに気づいた愛斗も同じ方向を見る。
「ふみ、コスプレに興味あるの?」
「うん……少しだけ。可愛いなって」
愛斗は少しだけ悪戯っぽい笑顔を浮かべ、ふみの耳元で囁いた。
「じゃあ、ふみが着てる姿、俺に見せてくれないかな? すごく見てみたい」
ふみは少しだけ頬を染め、照れくさそうに答える。
「え……別に、いいけど」
「ほんと? ありがとう、絶対楽しみにしてるから」
買い物を済ませると、二人はそのままドン・キホーテへと足を運んだ。目的のコスプレコーナーへ行き、たくさん並んだ衣装を眺める。
「どれにする?」
「まずは定番のメイドさんと、ナースさんから試してみようかな」
「それ、絶対似合うよ。楽しみだな」
次に、なんとなく気になって、少し奥まった場所にある18禁コーナーへと足を進めた。大人向けのDVDやグッズが並ぶ棚を眺め、二人はこれからのことを想像しながら、品物を手に取っては眺めていた。
一通り見て、さあ帰ろうかと出口へ向かおうとしたその時、
「ふみちゃん?」
聞き覚えのある声がした。顔を上げると、そこには幸輝が立っていた。
「なに? 用なら早く言って」
ふみが冷たい声で応対する。幸輝は手に持ったかごの中や、ふみたちが手にしていたアダルトDVDをジロジロと見て、気持ち悪そうな笑みを浮かべる。
「人のことジロジロ見んなよ、キモイ」
「ふみちゃんって、そういうのも興味あるんだ。コスプレとかも好きなの? だったら僕も見てみたいなあ」
「はあ? 見せるわけないじゃん。絶対に嫌だから」
「愛斗には見せるくせに? ずるいなあ」
ふみは愛斗の腕にしっかりとつかまり、幸輝を睨みつける。愛斗も一歩前に出て、ふみを守るように立った。
「ふみは俺の彼女だからな。これからふみとは、二人っきりでコスプレだって楽しむし、いろんなこともするんだよ。お前には一生縁のない世界だから、さっさと消えろ。それとも……お前、男だけどそういうの、できないだろ?もう股間がないからな」
愛斗の言葉が気に障ったのか、幸輝は急に顔を真っ赤にして逆上し、何も言わずに愛斗に殴りかかってきた。
「っ……!」
不意打ちを食らった愛斗は勢いよく壁に体をぶつけ、頭を強く打ってしまう。皮膚が切れて血が滲み、愛斗は痛みに顔を歪めた。
「愛斗くん! 大丈夫!?」
ふみは慌てて駆け寄り、愛斗の傷口を見て青ざめる。
「こんな奴、死ねばいいのに……! 愛斗くんさえいなければ、ふみちゃんは僕のものだったのに……」
幸輝はまだ悪態をついている。その言葉にカッとなったふみは、迷わず幸輝の頬を思いっきり叩いた。
「キモイ変態が! お前なんて、私のタイプじゃないの! 愛斗くんになんてことしてくれたの、お前が死ねばよかったのに!」
ふみは力いっぱい幸輝を突き飛ばし、さらに何度も殴りつけた。周りの客が騒ぎ出したのを見て、幸輝はようやく退散していった。
ふみはすぐに愛斗の側に戻り、手を取る。
「愛斗くん、病院行こう。絶対手当てしてもらわないと……」
二人は急いで病院へ向かい、診察を受けた。幸い大きな怪我ではなかったが、頭にはしっかりと包帯が巻かれ、愛斗はようやく安心した表情でふみの隣に座っていた。
「ごめんね、私のせいで」
「気にしてないよ。それより、ふみが俺のこと守ってくれて、すごく嬉しかった」
愛斗は包帯の巻かれた頭で、優しくふみに笑いかけた。
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