工場の闇に咲く恋 ~レンズが捉えた秘密~
会計待ちをしながら二人で話をしていると、そこに貞夫が現れた。愛斗の頭に巻かれた包帯に気づいた貞夫が怪我の理由を問うと、ふみは堪えきれずにその場で泣き出し、貞夫の胸元にしがみついた。
「ドン・キホーテで……幸輝くんに会ったの。愛斗くんは何も悪いことしてないのに、いきなり殴られて、ひどい悪口まで言われたの……!」
言葉を詰まらせながら、その時の経緯を一つ一つ話していくふみ。話を聞き終わった貞夫は、怒りを押し殺した低い声で言った。
「幸輝め……。あいつ、俺が直接話をつける。すぐに呼び出せ」
「……うん」
三人はいったん家へと戻り、すぐに幸輝へ連絡を取った。しばらくすると幸輝が家へやってきたが、貞夫が鋭い目つきで睨むだけで何も言わないので、居心地が悪そうにリビングに立っている。その間に、愛斗とふみは再びドン・キホーテへと向かった。
さっきは騒ぎが起きてゆっくり見られなかった分、今度は二人でゆっくりと棚を眺め、目当てのコスプレグッズを選び、ついでに大人向けのDVDも何本か手に取ってレジへ向かう。
買い物を済ませると、今度はスーパーへ立ち寄り、夕食の材料なども買い込んで家へと帰宅した。
ふみは買ってきた食材を冷蔵庫にしまい、それから紙袋からカフェオレといちごミルク、それにお菓子を取り出す。愛斗の分と自分の分を手に持ち、二階の部屋へ向かおうとしたその時、リビングにいた幸輝がふみに向かって嫌味たっぷりに言った。
「ふみちゃん、お前はそんなに愛斗が大事か? あいつを甘やかしすぎなんだよ。どうせたいした男でもないくせに」
愛斗のことを悪く言われたと瞬間、ふみの中の怒りが爆発した。カッとなって幸輝の頬を平手で叩きつける。
「愛斗くんの悪口だけは絶対に許さない! さっさと出ていって!」
そのまま無言で部屋へと駆け上がり、机の上に飲み物とお菓子を乱暴に置くと、悔しさと怒りから近くにあった椅子を思い切り蹴りつけた。
「最低……あいつ、まだ愛斗くんの悪口言うなんて……!」
そんなふみの背中に愛斗がそっと近づき、後ろから優しく抱き寄せる。そのままベッドまで連れていき、柔らかい布団の上に座らせた。
「ふみ、どうしたんだよ。そんなに怒って」
「だって……幸輝がまた、愛斗くんのことバカにするような悪口言うんだもん。すっごくムカつくし、許せない……」
ふみが目に涙を浮かべながら言うと、愛斗は少しだけ笑ってふみの肩を抱きしめた。
「そのイライラ、全部俺にぶつけろよ。俺も実は、あいつの言葉にすごくイライラしてるんだ。あんな奴の言うこと、気にする必要なんてない」
「……うん」
「今日は、俺もふみも思いっきり激しくしていいから。全部忘れて、俺だけを見て、全部吐き出していいんだ」
「……いいよ。愛斗くんがそう言うなら」
二人はそっと唇を重ね、次第に深く、熱いキスへと変わっていく。体を重ねながら、時折「幸輝なんか大嫌い」「バカにするな」と悪態をつきながら、その言葉と共に大きな喘ぎ声を漏らした。まるで怒りを吐き出すように、互いの存在だけを感じながら、長い時間をかけて愛し合った。
行為が終わるまでに一時間ほどが経っていた。二人はゆっくりと服を着て、机に置いてあったカフェオレといちごミルクを飲みながら、パソコンの画面を開いた。ドン・キホーテで買ってきたDVDをセットし、再生ボタンを押す。
画面に映る映像を眺めていると、突然部屋のドアがカチッと音を立てて開いた。
「わっ!」
驚いて画面を閉じようとする二人の前に、貞夫が立っていた。
「それ、俺も見たいな。リビングに持ってきて、一緒に見ようじゃないか」
ふみは真っ赤になって慌てて言った。
「え……? パパがこういうのに興味あるの?」
「あるよ、意外だったか? 俺だって男だからな」
「わ、わかった……。いますぐ出して持っていくね」
「待ってる」
貞夫が部屋を出ていくと、二人は顔を見合わせ、気まずさと貞夫の意外な一面に驚き、同時におかしくなって笑い出した。
「まさかパパが一緒に見るなんてね」
「うん」
二人は再び軽くキスを交わすと、DVDを手に取ってリビングへと向かっ た。
「さあ、三人で見ようか」
貞夫が笑顔で迎え、三人並んで画面に見入った。
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