工場の闇に咲く恋 ~レンズが捉えた秘密~
三人は車を駅の駐車場に停め、待ち合わせ場所へと向かった。そこにはすでに幸輝とカルが到着して待っていた。五人が揃ったところで新幹線に乗り、目指すは群馬県草津温泉。列車はゆっくりと進み、約二時間かけて目的地へと到着した。
旅館へと向かい、無事にチェックインを済ませる。部屋割りは、貞夫が一人部屋、愛斗とふみ、そして幸輝とカルがそれぞれ相部屋になった。
荷物を置き、一段落ついたところで、愛斗はふみの側に近づき、周りに聞こえないように小声で念を押した。
「ふみ、昨日俺が言ったこと、ちゃんとわかってるな。くれぐれも気をつけろよ」
「うん、わかってる」
ふみは頷き、心配そうな愛斗の顔を安心させるように、そっと唇を寄せて短いキスをした。
「大丈夫、愛斗くんが守ってくれるんでしょ?」
「ああ、俺がずっと側にいる」
それから五人は旅館のロビーに集合し、最初の目的地である温泉街のシンボル、湯畑へと向かった。湯けむりが立ち上る幻想的な景色を、皆でゆっくりと眺めながら約三十分ほど過ごした後は、お楽しみの食べ歩きタイムだ。
ふみ、愛斗、カル、貞夫の四人は、まず最初に草津名物の温泉団子を買い求めた。みたらし風の甘いタレが絡んだ団子を、ふみが嬉しそうに口に運ぶ。愛斗も自分の分を食べながら、ふと横にいる幸輝の方へ視線を向けた瞬間、胸の奥がカッと熱くなるのを感じた
幸輝は、ふみが団子を食べる様子を、まるで何か芸術でも鑑賞するかのように、じっと見つめていた。その目は完全に欲情に染まり、口元はだらしなく緩んでニヤニヤと笑い、さらには股間のあたりがはっきりと膨らんでいるのが、浴衣の上からでも見て取れた。
(こいつ……やっぱり最低だ。食べ物を食べてるだけなのに、それすらも性的な目で見て、汚い妄想を膨らませてやがる)
怒りと不安が込み上げ、愛斗はすぐさま行動に移した。ふみが食べているみたらし味の団子を、自分も「一口ちょうだい」と言って奪うように食べると、
「ふみ、こっちも食べな」
自分が頼んでいた焼き醤油味の団子を、幸輝の視界から隠すようにふみの前に差し出した。
これ以上、あいつにふみの姿を見られたくない。食べ物を口に運ぶその仕草だけで、あんな風にいやらしく見られるなんて、耐えられるはずがない。
このまま一緒に行動していたら、きりがない。どんな些細な行動でも、幸輝はきっと歪んだ欲望で見つめてくるに違いない。愛斗はカルに提案した。
「俺たち、この辺り別々に回ってみようか。せっかくだし、色んな店を見て回りたいから」
「いいね、それ。二人でデートしておいで」
カルはにこにこと笑って快く了承してくれた。
「ありがとう、カルさん」
「俺も愛斗たちと一緒に回りたいな」
「ほら幸輝、二人のせっかくのデートの邪魔しないの。私たちはお父さんとゆっくりこっちを見て回るから」
「……わかったよ、ごめん」
幸輝は悔しそうに口を曲げ、不満そうに視線を逸らした。
(お前は本当にただふみの側にいたいだけだろう。「俺も回りたい」だなんて、よくもそんな嘘がつけたものだ。だけど一緒に回れなくて、こっちは大正解だ。これからは俺が思う存分、ふみを独占させてもらうからな)
愛斗は心の中で悪態をつき、ふみの手をしっかりと握って歩き出した。
二人はそれから、プリンやおせんべいなど、様々な店を巡って食べ歩きを楽しんだ。途中、アクセサリーショップに立ち寄ると、ふみが可愛いデザインのブレスレットを見つけて目を輝かせた。
「愛斗くん、これかわいい!」
「本当だ。……よし、お揃いにするか」
「うん!」
色違いのそれを選び、嬉しそうに会計を済ませる。二人だけの特別な宝物がまた一つ増えた。
その後、皆と待ち合わせた時間になり、旅館へと戻った。
旅館自慢の温泉へ向かう時間になると、愛斗は貞夫と幸輝に促され、三人で男湯へと入った。
湯船に浸かり、しばらくすると貞夫は少し疲れたのか先に上がっていった。残された愛斗と幸輝。愛斗は一人になりたくて、わざわざサウナ室へと移動した。
だが、それも徒労に終わった。ドアが開き、湯気の向こうから幸輝がニヤニヤと笑いながら入ってきたのだ。
愛斗は無視しようと目を閉じる。すると、すぐ側に腰を下ろした幸輝が、耳元で囁くように話しかけてきた。
「もっちゃん、俺、ふみに告白されたんだ。一週間前にな。それでちゃんと付き合うことになったんだぜ」
「昨日の夜だってな……ふみの方から俺を部屋に誘ってきて、俺がちゃんと抱いてやったんだ。お前、外で見てたんだろ? ふみのことが好きなのか?」
愛斗はゆっくりと目を開け、幸輝の歪んだ顔をまっすぐに見つめた。
「好きだ」
「だったら諦めろよ。ふみは俺が好きなんだから。俺のものなんだ」
それ以上、この男の戯言を聞いているのは耐えられなかった。愛斗は無言で立ち上がり、サウナ室を出ると、勢いよく水風呂へと体を沈めた。頭のてっぺんからつま先まで、冷たい水で心も体も洗い流すように、じっと耐えた。
十分に体を冷ましてから温泉施設を出ると、ちょうど女湯からふみとカルも上がってきたところだった。二人は色鮮やかな浴衣を身にまとい、頬を少し紅潮させている。
だが愛斗の目に最初に飛び込んできたのは、またもや幸輝の姿だった。彼はふみの着崩れそうな浴衣の襟元や、帯の間から覗く肌を、舌なめずりせんばかりの目つきでじろじろと眺め、下品にニヤニヤと笑っている。
(こいつはどこまで欲望が強いんだ。どこまで行ってもこの調子か……)
愛斗は慌ててふみの側へ行き、自分が羽織っていた上着を、無造作にふみの肩にかけて隠した。そして彼女の耳元に口を寄せ、声を殺して告げる。
「ふみ、早くこっちに来て。……あいつ、またお前のことをエロい目で見てる。絶対に浴衣がはだけないように、しっかり押さえておけ」
ふみは驚いて幸輝の方を見、すぐに愛斗の後ろに隠れるように身を寄せた。
旅館へと向かい、無事にチェックインを済ませる。部屋割りは、貞夫が一人部屋、愛斗とふみ、そして幸輝とカルがそれぞれ相部屋になった。
荷物を置き、一段落ついたところで、愛斗はふみの側に近づき、周りに聞こえないように小声で念を押した。
「ふみ、昨日俺が言ったこと、ちゃんとわかってるな。くれぐれも気をつけろよ」
「うん、わかってる」
ふみは頷き、心配そうな愛斗の顔を安心させるように、そっと唇を寄せて短いキスをした。
「大丈夫、愛斗くんが守ってくれるんでしょ?」
「ああ、俺がずっと側にいる」
それから五人は旅館のロビーに集合し、最初の目的地である温泉街のシンボル、湯畑へと向かった。湯けむりが立ち上る幻想的な景色を、皆でゆっくりと眺めながら約三十分ほど過ごした後は、お楽しみの食べ歩きタイムだ。
ふみ、愛斗、カル、貞夫の四人は、まず最初に草津名物の温泉団子を買い求めた。みたらし風の甘いタレが絡んだ団子を、ふみが嬉しそうに口に運ぶ。愛斗も自分の分を食べながら、ふと横にいる幸輝の方へ視線を向けた瞬間、胸の奥がカッと熱くなるのを感じた
幸輝は、ふみが団子を食べる様子を、まるで何か芸術でも鑑賞するかのように、じっと見つめていた。その目は完全に欲情に染まり、口元はだらしなく緩んでニヤニヤと笑い、さらには股間のあたりがはっきりと膨らんでいるのが、浴衣の上からでも見て取れた。
(こいつ……やっぱり最低だ。食べ物を食べてるだけなのに、それすらも性的な目で見て、汚い妄想を膨らませてやがる)
怒りと不安が込み上げ、愛斗はすぐさま行動に移した。ふみが食べているみたらし味の団子を、自分も「一口ちょうだい」と言って奪うように食べると、
「ふみ、こっちも食べな」
自分が頼んでいた焼き醤油味の団子を、幸輝の視界から隠すようにふみの前に差し出した。
これ以上、あいつにふみの姿を見られたくない。食べ物を口に運ぶその仕草だけで、あんな風にいやらしく見られるなんて、耐えられるはずがない。
このまま一緒に行動していたら、きりがない。どんな些細な行動でも、幸輝はきっと歪んだ欲望で見つめてくるに違いない。愛斗はカルに提案した。
「俺たち、この辺り別々に回ってみようか。せっかくだし、色んな店を見て回りたいから」
「いいね、それ。二人でデートしておいで」
カルはにこにこと笑って快く了承してくれた。
「ありがとう、カルさん」
「俺も愛斗たちと一緒に回りたいな」
「ほら幸輝、二人のせっかくのデートの邪魔しないの。私たちはお父さんとゆっくりこっちを見て回るから」
「……わかったよ、ごめん」
幸輝は悔しそうに口を曲げ、不満そうに視線を逸らした。
(お前は本当にただふみの側にいたいだけだろう。「俺も回りたい」だなんて、よくもそんな嘘がつけたものだ。だけど一緒に回れなくて、こっちは大正解だ。これからは俺が思う存分、ふみを独占させてもらうからな)
愛斗は心の中で悪態をつき、ふみの手をしっかりと握って歩き出した。
二人はそれから、プリンやおせんべいなど、様々な店を巡って食べ歩きを楽しんだ。途中、アクセサリーショップに立ち寄ると、ふみが可愛いデザインのブレスレットを見つけて目を輝かせた。
「愛斗くん、これかわいい!」
「本当だ。……よし、お揃いにするか」
「うん!」
色違いのそれを選び、嬉しそうに会計を済ませる。二人だけの特別な宝物がまた一つ増えた。
その後、皆と待ち合わせた時間になり、旅館へと戻った。
旅館自慢の温泉へ向かう時間になると、愛斗は貞夫と幸輝に促され、三人で男湯へと入った。
湯船に浸かり、しばらくすると貞夫は少し疲れたのか先に上がっていった。残された愛斗と幸輝。愛斗は一人になりたくて、わざわざサウナ室へと移動した。
だが、それも徒労に終わった。ドアが開き、湯気の向こうから幸輝がニヤニヤと笑いながら入ってきたのだ。
愛斗は無視しようと目を閉じる。すると、すぐ側に腰を下ろした幸輝が、耳元で囁くように話しかけてきた。
「もっちゃん、俺、ふみに告白されたんだ。一週間前にな。それでちゃんと付き合うことになったんだぜ」
「昨日の夜だってな……ふみの方から俺を部屋に誘ってきて、俺がちゃんと抱いてやったんだ。お前、外で見てたんだろ? ふみのことが好きなのか?」
愛斗はゆっくりと目を開け、幸輝の歪んだ顔をまっすぐに見つめた。
「好きだ」
「だったら諦めろよ。ふみは俺が好きなんだから。俺のものなんだ」
それ以上、この男の戯言を聞いているのは耐えられなかった。愛斗は無言で立ち上がり、サウナ室を出ると、勢いよく水風呂へと体を沈めた。頭のてっぺんからつま先まで、冷たい水で心も体も洗い流すように、じっと耐えた。
十分に体を冷ましてから温泉施設を出ると、ちょうど女湯からふみとカルも上がってきたところだった。二人は色鮮やかな浴衣を身にまとい、頬を少し紅潮させている。
だが愛斗の目に最初に飛び込んできたのは、またもや幸輝の姿だった。彼はふみの着崩れそうな浴衣の襟元や、帯の間から覗く肌を、舌なめずりせんばかりの目つきでじろじろと眺め、下品にニヤニヤと笑っている。
(こいつはどこまで欲望が強いんだ。どこまで行ってもこの調子か……)
愛斗は慌ててふみの側へ行き、自分が羽織っていた上着を、無造作にふみの肩にかけて隠した。そして彼女の耳元に口を寄せ、声を殺して告げる。
「ふみ、早くこっちに来て。……あいつ、またお前のことをエロい目で見てる。絶対に浴衣がはだけないように、しっかり押さえておけ」
ふみは驚いて幸輝の方を見、すぐに愛斗の後ろに隠れるように身を寄せた。