鬼上司のギャップ沼は落ちたら抜け出せない
「私、めちゃくちゃ号泣しちゃったんですけど、小林さんはどうでしたか?」
「私も泣いたよー。ラストの悪魔とのバトルで如月(きさらぎ)先輩が死んじゃったところがもう……」
「わかります! 私も如月先輩が亡くなったところで泣いて、如月先輩の死を知って涙する篠嗣(しのつぐ)さんを見て涙腺決壊しちゃいました」
「そこで号泣なの? 如月先輩が死んだところじゃなくて?」
「もちろんそこも感動ポイントなんですけど、いつもは厳しくて血も涙もなさそうな篠嗣さんが、親友の死を悲しんで泣いてるっていうのがまたグッと……きませんか?」
 実は私が篠嗣さんに沼落ちしたのも、このシーンを原作マンガで読んだことがきっかけ。絶対に泣かないであろう男の人の泣き顔に庇護欲がそそられるというか。今回映像で改めて見て、雨に打たれながら涙を流す篠嗣さんに心臓が爆ぜて消し飛んでしまいそうなくらいキュンキュンした。
 私としては全人類共通の感情なのだと思っていたけれど、小林さんの返事は「なるほどねぇ」とあっさりしたものだった。
「榎本さんはイケメンの泣き顔好きってことね」
「や、それだと私、変な人じゃないですか?」
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