クールな敏腕上司の素顔が甘すぎて蕩けそうです。

 その日の夕食は味がしなかった。
 桐谷から誘われホテル内のレストランへ行ったが、向かい合わせて座るとどうしても見られている気持ちになり、いつもは意識していない桐谷からの視線が気になって仕方ない。

 今日の反省と謝罪をするタイミングも計れず時間だけが過ぎていく。

 桐谷が二人きりの食事を楽しく過ごせるよう配慮してくれているのだから、自分も従うべきだと気持ちを切り替え、なるべく笑顔を取り繕いその場を凌いだ。

 部屋に帰り、自己嫌悪に陥る。既に彼の中で自分の評価は下がっているだろう。これからの三週間でどうにか挽回したい。

「そう、大切なのは仕事内容だから」
 資料内容とスケジュールは頭に叩き込んだ。明日からの仕事振りを評価してもらえるよう頑張るしかない。気合いを入れ、ようやくスーツケースの中の荷物を取り出し片付けた。

 浴槽に湯を張り、ゆったりと温まってリラックスする。お風呂上がりにアイスクリームが食べたくなって、近くのコンビニへ行くことにした。

 今から化粧をする気にもなれず、マスクで顔を隠しラフな服装のままホテルを出る。

 ついでにコンビニスウィーツもチェックしようと店内を彷徨(うろつ)いていると、背後から不意に声をかけられた。

「蒼井も何か買いに来たのか?」

「え……」……誰だろう。
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